話題:妄想を語ろう


就職の方向性で悩んでいた学生の頃、たまたま知り合ったジプシーの占い師から決定的とも言える貴重なアドバイスを貰った。

占い師の言葉を信じて単身アメリカへと渡った俺は、ホットドッグの早食いチャンピオンを経て、
大統領の護衛官となった。

その後、俺は、大統領の身代わりとしてインフルエンザの予防接種を受けるなど、身を呈して大統領を護り続けた。そのようにして積み重ねた実務上の実績に加え、サミット会議の余興で披露したクリスタルキングの「大都会」の歌モノマネ(俺はクリキンの声の高い方と低い方、その両方を一人で同時に真似られる)が好評を泊すという幸運も加わり、今では護衛チームのリーダーとなっている。

ジプシーの占い師は正しかった。やはり、この仕事は俺に向いていたのだ。

今でも俺は、あの時、ジプシー占い師が語った言葉をよく思い出す。

『君に向いているのは…ずばりサービス業だ』

大統領護衛班…。

ザ・シークレットサービス!

これほど判りやすい“サービス業”が他にあるだろうか。これからも惜しみなくサービス精神を発揮して大統領を護りたい。俺はそう思っている。


【終わり】