話題:ポジティブ

毎日の日々における普段の日常の通常の暮らしの生活の営みのライフの中で、不意に突然、いきなり予告もなく急にサドンリーに訪れる[Sasa ni kidogo bora]。

[Sasa ni kidogo bora]とは、皆さま御存知のように、スワヒリ語で“ちょっといい瞬間”と云った意味の言葉でありますが…

素敵に生きる大人には、この
[Sasa ni kidogo bora]=ちょっといい瞬間、が訪れる事があるのです。例えば…

☆美容室☆

初めて入った美容室や床屋などで、楽しくて愛想のよい美容師さんに当たり、会話も弾んで素敵な時間を過ごした挙げ句に“思っていたのとはだいぶ違う髪型”に仕上げられてしまった瞬間です。

にこやかな笑顔で満足気に「こんな感じで宜しいですか?」と自信満々で訊ねてくる美容師さんに、「…ええ…いい感じですね」と顔で笑って心で泣く時、それは間違いなく貴方にとっての[Sasa ni kidogo bora]に他ならないのです…。


☆雨風の強い日☆

素敵な大人のマストアイテムである百均のビニール傘が、雨風の強い日に[Sasa ni kidogo bora]を演出してくれる事があります。

貴方は強い雨風の中を百均のビニール傘をさしながら歩いています。そして、貴方の周りには同じように百均のビニール傘をさした人々がいます。

そこに、一際強い突風が吹きました。

貴方はビニ傘を盾に突風から身を守ります。周囲のビニ傘フレンズも同様です。ところが…

どういう理由だか、貴方のビニ傘だけが突風に負け、完全に裏返ってしまいます。これがまず第一の[Sasa ni kidogo bora]です。

次に貴方は、その裏返ったビニ傘を“フェンシングの突き”のように鋭く、そして素早く前方に突き出し、自らが作り出した風圧によって裏返った状態を元に戻そうと試みます。

それで傘が戻ればとてもスタイリッシュなのですが、そうは問屋が卸しません。傘は相変わらず裏返ったままで、貴方は周囲の人々の失笑を買う事になります。これが第二の[Sasa ni kidogo bora]です。

やがて、一発で傘を元に戻す事を諦めた貴方は、強い雨風の吹く中、裏返ってしまった傘の骨を一本一本地道に元の状態へと戻していきます。第三の[Sasa ni kidogo bora]。とどめです。

吹きすさぶ雨風の中、ズブ濡れで傘をいたわる貴方の姿は、これぞ正しく素敵な大人と呼べるでしょう…。


☆帰宅後のキッチン☆

仕事を終え帰宅した夜。貴方は、手洗いと着替えを終え、貴方はキッチンの奥にある電気炊飯器へと向かいます。素敵な大人は自炊生活が基本。もちろん、電気炊飯器のタイマーは朝、出掛ける前にセット済みです。

さあ、温かいご飯でエネルギーチャージだ。疲れた体に鞭打って貴方は炊飯器の蓋を開きます。

が、そこに広がる光景は、冷たく張られた水と、その底に沈む生米です。その静謐さは、まるで玉砂利を底に敷き詰めた神社の手洗い池のよう…。そこで貴方はようやく、炊飯器のコンセントが抜けている事に気づきます。

夜のキッチンの片隅で、冷たく張られた静かな水面に映る悟りを開いたような己の涼しい顔を見る時、貴方はついに【明鏡止水】という言葉の意味を知るのです。

そんな瞑想タイムはもちろん、[Sasa ni kidogo bora]です。



これらの他にも素敵な大人には様々な状況で[Sasa ni kidogo bora]が訪れます。

☆タクシーで降車する寸前、わずかタイヤが一回転する刹那の時間に料金メーターが一段階跳ね上がった時…。

☆レストランで自分の注文した料理が、自分より後に入って来た客に先に出された時…。

☆駅前でティッシュを配っているお兄さんやお姉さんが、自分にだけティッシュを渡してくれなかった時…。

☆駆け込み乗車で閉まった扉に服の裾を挟まれ、引っ張り抜こうとするも叶わず、見かねた周りの親切な人たちに一緒に裾を引っ張って貰っている時…。

☆靴の中に入った小石を靴を履いたまま取ろうと格闘している内に本格的に奥へ入り込んでしまい、やむなく靴を脱いで片足立ちのまま、天下の往来で脱いだ靴を引っくり返してシェイクし、小石を取り出そうと試みている時間…。



素敵な大人に訪れる“ちょっといい瞬間”…[Sasa ni kidogo bora]。

もしかすると、これらのラグジュアリータイムは、日々を素敵に、そして逞しく生きる大人たちへの神タマの贈り物なのかも知れませんね…。


では…また♪