話題:妄想を語ろう
更なる真相に近づく為の取っ掛かりを求める我々に、館長は自分がまだ幼い時分、地元の有力者であり同時に優れた郷土史家でもあった祖父から聞かされたという古い民間伝承を「参考になるかどうか判りませんが…」と前置きを打った上で教えてくれたのだった。
館長が語った話を要約すると、概ねこのような感じとなる。
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どのくらい年代を遡れば良いのかすら判らないほど遠い遠い昔の事。Mヶ岳上空に突如として謎の発光体が現れた。そして、それは轟音と共にMヶ岳山中の“と或る集落”に着陸したという。驚いた集落の人たちが着陸現場に近づいてみると、山林中のぽっかり開けた場所に銀色に輝く金属製の巨体な円盤が低い動力音を響かせながら停まっていた。やがて、集落の人たちが遠巻きに見守る中、円盤の外壁の一部が扉のように開いたかと思うと、異様な出で立ちの者たちが姿を現したという。
実は彼らの正体こそ、地球を侵略しに宇宙からやって来た【亜槌無為手穂意 星人】であり、その集落は彼らが使う魔法のような術「滋矢無顕穂意」からの「亜槌無為手穂意」により瞬く間に支配されてしまったそうだ。
術をかけられた者は顔の向きが一方向に固定されてしまい、以降【亜槌無為手穂意 星人】の従順な手先となったらしい。
ところが、或る時、【亜槌無為手穂意 星人】はどういう理由でか地球侵略を諦め、自らの母星に帰還してしまう。そして後には、首が回らなくなった人たちの集落だけが残された…。
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なんという事だ。
「参考になるかどうか判らない」どころか、ズバピタ、いやドンピシャではないか。
館長の話を聴き終えた我々は、すぐさま緊急会議を開き、この都市伝説の真相を一つの仮説として取りまとめる事にした。
そして、その会議において我々はある重要な事柄に気づいたのだった。
もしかすると【滋矢無顕穂意】は「ジャンケンほい」と読むのではないだろうか。これは、知る人ぞ知る日本のゲーム【ジャンケン】の掛け声「ジャンケンぽん」と酷似しているように思える。そうなると【亜槌無為手穂意】は「アッチムイテほい」と読む可能性が究めて高いと言えるだろう。
それを踏まえた上で我々が行き着いた“謎の顔面方向固定村”の真相は以下の通りである…。
《続きは追記からどうぞ♪》
***
遠い昔、宇宙から【アッチムイテほい星人】が地球を侵略しにやって来て、現在の某県Mヶ岳山中に存在していた小さな集落の支配に成功した。
彼らの手口は、集落の人に「アッチムイテほい式のジャンケン」を挑み勝利する事。恐らく【アッチムイテほい星人】は「アッチムイテほい式のジャンケン」で勝つ事により相手の心と身体を支配する特殊能力を持っていたのだと思われる。そして負けた者は皆一様に「アッチムイテほい式のジャンケン」で負けた時の顔の向きのまま頭と首が固定されてしまう。
更に【アッチムイテほい星人】は「アッチムイテほい式のジャンケン」に関しては滅法強く、とても地球人が太刀打ち出来るレベルではなかった。結果、集落の人たち全員が敗北を喫してしまう。
そして、「顔を同じ方向に向け続る人たちの村」が誕生した…。
【アッチムイテほい星人】が地球を去った理由は判らないが、彼らは自分たちが地球に来た痕跡を悟られぬよう、その村(集落)を亜空間に閉じ込めるなり、特殊な結界を張るなりして、周囲の目から隠したのではないか。
ところが、磁場の変動か何かの理由でごく稀に村(集落)への入り口が開いてしまい、道に迷った車が入り込んでしまう事がある。
恐らく、村人たちはそれから数百年を経た現在でも【アッチムイテほい星人】に心身を支配されており、彼らからの指示を待ち続けているのだろう…。
***
我々はかなりの確信をもって、そのように結論づけた。
ところが…
会議の翌日、例の郷土史料館の館長から我々のもとに一本の電話が入ったのである。
聞けば、問題の逸話に関して祖父から聞いたものとは少し異なる話を小学校時代の教師から聞かされた事を思い出したという。
その異説によると…
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宇宙から謎の物体が飛来し、それが【アッチムイテほい星人】の乗るUFO だという点までは最初の話と一致していたが、着陸した場所は人跡未踏の山奥で、彼らが地球にやって来た理由も侵略ではなく亡命であったという。
【アッチムイテほい星人】の母星であるアッチムイテホイ星では、「アッチムイテほい式ジャンケン」の強さこそが全てであり、アイデンティティーそのものであった。実際、彼らはアッチムイテほいに関して殆んど無敵の存在だったが、実は彼らの中にも、ついつい相手の指先につられてそっちに顔を向けてしまう“アッチムイテほいに向いていない性格の人たち”が存在していた。
アッチムイテホイ政府は自らのアイデンティティーが失われる事を恐れて、彼らを孤島に幽閉し、判別する為に“顔の向きを固定する術”を掛けたという。
ところが、幽閉された人々は密かに脱出計画を練っていた。そして、ガレージでこつこつと製作していた小型のUFO が完成すると、それに乗り、アッチムイテほい星からの亡命を計った。
その亡命先の星こそが地球であり、現在も彼らはアッチムイテほい政府の追撃から逃れる為、自分たちの居住区域に特殊な結界を張り、人知れずこっそり暮らしている…。
―――――
その話を聞いた我々は困惑していた。どちらの説も甲乙つけ難い信憑性を持っているように思えるからだ。正直なところ判断の下しようがない。
そこで、
我々としては、真相を読者の判断に委ねようと思う。
貴方が信じる方、それが真実である。
ただし、どちらを信じるにしても、もしも貴方が某県の湯治場を訪れようと車を走らせ、道に迷って妙な村に入り込んでしまったとしたら…
そして、そこの村人たちが皆一様に顔を同じ方向に向け続けていたとしたら…
どうかその時は、すぐに来た道を引き返し、村から脱出して欲しい。
うっかり、彼らのフレンドリーな態度に気を許して、提案された「アッチムイテほい式のジャンケン」に応じてしまい、その勝負に負けてしまったら…
貴方の心身は完全に彼らに支配された挙げ句、顔面方向固定人にされてしまうに違いないのだから。
―――――――
こんな伝説…
誰も知らない。
【終わり】。
なんか、土着的な怖さってあるよね〜(((((((・・;)
これ、「あっちむいてホイ♪」で、負けた時のまま首が回らなくなったら最高にカッコ悪いだろうな(笑)と思って書き始めたんだけど…
予想外に話が膨らんでしまった(´▽`;)ゞ
野球ケン星人…
顔が全員、坂上二郎そっくりだったりしてヾ(*T▽T*)
うむっ。
ちょっと恐いぞっ
あっちむいてホイ星には行きたくないぞっ
姉妹星として、野球ケン星があったとしても行きたくないどっ
マンガで読んでたの…
金田一少年かなぁ〜?
そんな ぞわっとした恐さを感じちゃった
(>艸<*)
なお、伝統の薄氷踏み祭りにおいて残念ながら薄氷を踏み割ってしまった人たちは…
例年通り、「ガッデム!!(`Δ´)」と叫びながらガッデム地方へと飛ばされたようです…。
続きましては、気になる明日の北極点情報です♪(*^^*)
それ以北はオッサム地方で
お・さ・む・ちゃん・でーす
という掛け声のもと冬の風物詩である薄氷踏み祭りが今年も決行されました
続いて明日の全国の天気予報です
なんか、地図には載っていない謎のスポットって何気にけっこうありそうだよね三( ゜∀゜)
巨頭村の人たち、逆上がりが苦手そう(/▽\)♪
ニュアンスは違うけど、駅から出たら反対側にあるべき風景が広がっていた、っていうMiiさんの話 書きながら思い出してたヽ(・∀・)ノ…もしかしたら、それ、アッチムイテホイ星人の新たな幻惑術かも…。
いえいえ、損毛だなどと…恐れ多いです(//∇//)
↑それ、別の意味で何かを恐れているのでは?
いや、私はフサフサ星人なので大丈夫( ̄∇ ̄*)ゞ
前に首を寝違えて左にしか顔を向けられなくなった時、もし今、アッチムイテホイやったらまず負けるだろうな〜なんて考えていた事を思い出して…
気がついたら、この話を書いていました(笑)(/▽\)♪
地図にない村シリーズの“巨頭オ”を思い出しましたわ
(;´д`)ウェ…
しかしアッチムイテホイ星人…
そんなんアリ?
(/_\;)
こんばんは☆
トキノさん、本当に博識ですよね(*´∀`)
そして、その知識を頭に留めながら、こんな風に摩訶不思議なお話を仕立てあげてしまうのだから、改めて損毛します。
ん!?
だってね、そんけ…まで打ったら、損毛って出てきたの(笑)
もとい!!
尊敬します♪
なんだか、アッチムイテホイ星人
かわいそうになっちゃったなぁ
(._.)