話題:料理、グルメ全般


今、巷で最もトレンディな話題と云えば…

そう、「昨日の昼ご飯の話」です。

因みに、“ひるごはん”と云っても、ご飯の上に吸血ヒルを載せて食べる“ヒルご飯”ではなく、「朝」「昼」「晩」の“昼”の方です。

古代ギリシアの賢人ソロンは、弟子の『人は何の為に生まれて来たのですか?』という哲学的な問い掛けに対し、これでもかという位に納豆をかき混ぜながら『昼ご飯を食べる為』と答えたとか答えなかったとか…或いは、かき混ぜていたのは納豆ではなく実は生卵でソロンは卵かけご飯を食べるつもりだったとか、…いやいや、むしろそれは逆で、卵かけご飯ではなく“ご飯かけ卵”だったに違いないだとか…まあ、色々と云われてはいますが、

兎にも角にも、古代より“昼ご飯”がとても重要な存在として考えられていた事はほぼ間違いありません。

その数多ある“昼ご飯”の中でも特に重要視されていたのが“昨日の昼ご飯”で、これはニーチェが「昨日の昼に何を食べたかで人間の価値は決まる」と寝言で呟いたかも知れない事で既に実証されている訳です。

さて、そんな昨日の昼…

「昼ご飯に何を食べようか?」

そんな事を考え始めた私は、三日三晩の熟考の末、数日前に買って来た冷凍食品のチャーハンがある事を思い出し、それを食べる事に決めました。

ところが、

勇躍、冷凍室から取り出した冷凍チャーハンは、あろう事か既に袋が開けられていたのです。恐らくは昨日、父か母か犬か空き巣が私に無断で勝手に食べたに違いありません。

しかし、それは良いのです。

問題は“残っている量”なのです。

先に述べたように、それは二人前の内容量450グラム の物ですが、どうも手に持った感じだと、残っているのは半分以下…160グラム程度のように思えます。

これではちょっと足りない…。

しかし、その見立てに自信はありません。もしかしたら半分ぐらいは残っているかも知れません。

そこで、「ええい、ままよ!」と取り敢えず作ってみる事にしました。

そして、門外不出のレシピにより間もなく“チン”し終わったチャーハンを確認してみると…

やっぱり少ない。

正直、これでは物足りません。

かと云って、今から買い物に行く気にもない。さて、どうしたものか…

その時、食器棚の中にレトルトパックのご飯が一つ置かれているのに気づきました。

よし、これで行こう。

匠の技でレトルトご飯を“チン♪”し、それを丼の中に敷き詰めます。そこに、先程完成したチャーハンを載せ…

「チャーハン丼の完成です!」(←チューボーですよのマチャアキ風に)

鶏そぼろ弁当が美味しいのだから、きっとチャーハン丼もイケるはず。

そんな期待を込め、本場フランス仕込みのテーブルマナーで食べ始めた私。

味の濃い米つぶと味の薄い米つぶが口の中で斑(まだら)なハーモニーを奏でています…。

炭水化物と炭水化物のシャル・ウィ・ダンス…

食べている最中なのに、食後の“後味”に思えるこの不思議さの正体は?


食べ終えた私は、ご馳走さまの合掌をしながら云いました…


「ありがとうチャーハン丼。君と逢う事は二度と無いだろう…」


そして思いました。

レトルトのご飯とチャーハンを混ぜて一緒に炒め、本だしと醤油か何かで味付けすれば良かったと…。


〜終わり〜。