話題:なんだよ、なんだよ

いつかの冬、ちょんまげも凍るような寒い2月に男ばかり5人で神立高原(かんだつこうげん)という所にスキーという名の“雪原をひたすら転がり落ちる遊び”をしに行った事がありました。

初日の夜。

一日中あちこちのゲレンデ斜面を転がり倒した私たちは、布団を五つ横に並べる並列式の雑魚寝スタイルで、ダルマ的な満足感と心地よい疲労と共に揃って牧歌的な眠りに堕ちました…私以外は。

というのは、私には寝室や寝具が変わるとてきめん寝つきが悪くなる性質があるのです。

案の定、この夜もなかなか寝つけず、まんじりと天井の木目を眺めながら過ごしていた時、突然、隣の布団で眠るF君がガバッと掛け布団を跳ね上げ上体を起こしたのです。

わわっ!何だ何だ!?
ヽ(・∀・)ノ

するとF君は、布団から上体を起こした形のまま一言…

『アンドロポフ書記長』

そう呟いた後、そのまま後ろに弧を描きながらバタリと倒れ、再び堕天使のような安らかな顔で眠り始めたのです。

謎の寝言に、私は更に眠れなくなってしまいました。

翌朝、F君に問い質してみても「知らない。覚えてない」の一点張り。

もしかするとF君は、旧ソ連の復興を目論むKGB の元スパイかも知れない。そう思って、その後しばらくF君を観察するも、そういった気配はまるで無し。それどころか、ピロシキを風呂敷の一種類だと思っていた事が判明する始末。


いったい…あの夜の寝言は何だったのだろう?


ロシアに隕石が落下したというニュースで思い出した、いつかの冬のお話でした…。

〜おしまい〜。