話題:写真詩

夜空に輝くあの小さな星は、とっくのとうに消滅して、今はもう宇宙の何処にも存在しない。

星の光が届くのに長大な時間を必要とする場合、そんな事もあるだろう。

例えばそれが三十万光年の距離なら、私たちが現在見ている姿は三十万年前の星のもの。

そんなふうに

今から三十万年後の何処か遠い未来の星で、今の地球、私たちの姿を誰かが眺めている。そんな事とてあるかも知れない。

もしも

私たちが、そんな三十万光年離れた星に三十万年先の未来で生まれ変わったとしたら…

私たちは三十万年前の自分たちの姿を、星の光の中に見てとる事になるのだろう。

だとすれば

私たちがいま眺めている三十万年前の星の光の中には、今から三十万年前、別の星で暮らしていた過去世界の私たちがいる。そんな可能性もある。

三十万年前の自分たちを遠い星明かりの中に見ている私たちは、同時に三十万年先の星で暮らす自分たちに遠い星明かりとして見つめられているとするならば

過去と現在、そして未来の三つの点は、宇宙の中で同時に存在しているのかも知れない。

現在過去未来。

今夜も宇宙の三つの星で三人の私が佇んでいる。