【ダジャレ千夜一夜物語 第2夜】


『伝説のエース』


某年、夏の選抜高校野球大会地方予選決勝。

その決勝当日の朝、あろうことか、枕投高校の選手全員が酷い風邪を引いてしまった。

そして、運の悪い事に‥選手の中で一番症状が重かったのがチームの大黒柱、エースで四番の佐々々々木君で、症状が腸に来た彼はトイレの個室から離れられない状態となっていた。

それでも、監督や他の選手全員は、自分たちも風邪でヘロヘロ状態であるにも関わらず、トイレに籠もる佐々々々木君を、試合開始の時間ギリギリまで待ち続けた。

この日の為に一年間、ツラい練習を皆で耐え抜いてきたのだ。

晴れ舞台には全員で上がろう!

ところが…佐々々々木君は一向に出て来ない。

仕方なく、チーム全員でトイレを壊し“便器に腰掛けているエース”をその状態のまま、マウンドまで運んで行く事にした。

マウンドの上に便器が運ばれて来るのを見た観衆は、口から心臓が飛び出るぐらいに驚いた。

中には本当に心臓が飛び出てしまい、慌てて飲み込んで事なきを得た人も何人か居たらしい。
しかし、そんな観衆を更に驚かせたのが、便器に座ったまま投げ続ける佐々々々木君の快刀乱麻のピッチングだった。

実に9回表まで相手チームを、味方のエラー一つのノーヒットノーランに抑え込んでいたのだ。

それにはちゃんと理由があった‥