話題:妄想を語ろう


 愛玩動物として昔から世界で大人気のツチノコ♪現在では様々な品種改良も行われ、“アメリカンショート・ツチノコ”や“ウェルシュ・ツチノコ・ペンブローク”など、より飼いやすい種類も登場しております。

そんなツチノコブームを受けて、ついに、古くからある日本の“ことわざ”をツチノコ化させる研究が密かに始められた事を皆様はご存知でしょうか?

“ことわざのツチノコ化”とは何か?

それは、ツチノコの形状を思い浮かべて頂ければ簡単に御理解頂けると思います。

つまり、頭と尻尾は小さく細いのに胴体は異様に太いと云うツチノコの特徴を“ことわざ”に当て填め、“ことわざ”の真ん中部分を人工的に膨らませ“ことわざ全体”をストーリー化させようと云う試みが《ツチノコ式・ことわざトランスファー計画》なのです。

本来は極秘のプロジェクトですが、今回は特別に1つだけ“サンプルことわざ”をご紹介致しましょう。


―――――――

★サンプルことわざ★


【どんぐりの〇〇〇〇背比べ】


どんぐりの

どんぐりによる
どんぐりの為の
どんぐりの政治。

小学4年の兄さんが自作だと宣言しながら作った格言は、明らかにリンカーンをパクッていたっけね。

あの頃の兄さんは、誰よりも陽気で学校中の人気者だった。ナショナルが嫉妬するぐらいに誰よりも明るく輝いていた。

それが…

満を持して、林間学校で披露した“リンカーンの物真似”が見事にダダすべりした時から、兄さんは変わってしまった。

綺麗にカールしていた睫毛がダダ滑りのショックで“逆睫毛(さかまつげ)”になった。

柳のように美しかった眉毛もショックで真一文字に繋がって、バカボンの本官さんみたいななった。

そして、誰の目にもハッキリと判るほど、とてつもなく猫背になった。

余りに猫背すぎるから、“馬跳びの馬”をやっていると勘違いされて、しょっちゅう背中の上を誰かにポーンと跳ばれていたよね。

どんどん馬化して行くのを心配する僕に、兄さんは悲しげに笑ってこう言ったっけ…

『馬は馬で悪くないさ。これから僕は“馬跳び星人”として立派に生きて行くつもりだ』…と。


でもね兄さん、

僕は知っているんだ。兄さんが“林間学校のリンカーン”を超えるネタを密かに考えていて、華麗なる復活を遂げようと企んでいる事を。

それでこそ兄さんだ!

そう、兄さんはいつも僕の上にいて、ずっと僕の目標だった。そして、これからもそうあって欲しい。だから兄さん、今日だけは猫背のフェイクを解いて、背筋をきちんと伸ばして計るんだ。

今日が何の日か、兄さんだって本当は判ってる筈だ。

そうだよ、今日は五月五日の…

背比べ


―――――――


誰が何の目的で始めたのかまるで不明な《ツチノコ式・ことわざトランスファー計画》。

ダダ滑り必須の恐ろしい計画です。

この、とんでもない馬化計画が世に出ないよう皆で祈りましょう。


《終わり》

★昨日掲載し物の元写真はこちら↓