話題:連載創作小説
大粒の激しい雨が降り注ぐ【Kコーポレーション】本社ビル前。時刻は夜にほど近い夕方の六時過ぎ。そう、これは『誘拐犯‐A kidnapper‐』その【7】と【8】の狭間で起こった、もう一つの事件の話なのである…。
☆
本社ビルの入り口で立ち番を勤めるI県警の若宮巡査は、支給された白色の雨合羽で雨に打たれながら、幾らか悔しい思いでビルに入る他の捜査員たちを眺めていた。
本来ならば自分も捜査に加わるはずが、本庁から大量に出張ってきた捜査員たちのせいで、見張り役という警備員のような役割へと押し出されてしまったからだ。
しかし、それも無理はない。事件の規模がこれだけ大きくなれば、捜査の陣等指揮はどうしても警視庁が執る事となり、I県警の捜査員は本庁の指示に従うより他はない。それでも、ベテランの捜査員たちにはそれなりの仕事が与えられているようだが、歳も若く経験もさほど深いくはない若宮巡査程度の人間は、せいぜい見張りか使い走りがいいところだった。
冷たい雨に体が冷えてくるのを感じながら若宮巡査がそんな事を思っていると、新たなパトカーが【Kコーポレーション】本社ビルの前に小さな飛沫を上げながら停まるのが見えた。
やれやれ、またお偉いさんのお出ましか…。
ところが、パトカーから姿を現したのは、若宮がよく顔を知る人物であった。
警視庁捜査一課所属、草壁警部。現在は本庁の人間である草壁も数年前まではI県警捜査一課の捜査官であった。もともとは企業犯罪などを専門とする捜査二課員だった草壁だが、やがて二課から一課に、そして一昨年にはついに警視庁へと栄転していた。
キャリア組でない草壁の出世は、同じノンキャリアの人間に希望を与えるものであったが、同時に、何故このように“トントン拍子での出世できたのか”という疑問に答えられる者はなく、それは現在でも《I県警の七不思議》の一つとされていた。
《続きは追記に》。
部下の差し出す傘で雨から守られながら本社ビルの入り口に差し掛かった草壁警部に、ずぶ濡れの若宮巡査が同郷の思いで親近感を込めて敬礼すると、草壁は若宮の顔をチラリと見て小さく頷いて、ビルの中へと足早に消えて行った。
草壁の小さな頷きが自分を覚えていてのものなのか、それとも単に儀礼的な挨拶に過ぎなかったのか、その判断は若宮には付かなかったが、何となく後者であるように若宮には感じていた。
若宮が、少しがっかりした気持ちで相変わらずの雨雲が広がる重い空を見上げた時、イヤホンから何やら緊迫した声で通信が入ったのだった。
「敷地内娯楽施設内から少女発見!施設内から少女発見!」
若宮はすぐにも現場へ駆けつけたい気持ちを抑え、雨の中、黙って立ち続けるしかなかった。
ややあって、本社ビルの入り口から少し離れた場所に陣取っている報道関係者たちの動きが俄かに活発になった。
早くも警察からの発表があったのだろうか?
若宮がそんな事を考えながら立ち並ぶ報道陣に目をやると、その中に、ニュース番組でよく見かける女性リポーターの姿を見つけた。その女性リポーターは、しきりに耳に嵌めたイヤホンを気にしながら自分に向けられたカメラに向かい、やや興奮気味に何か伝えているようだった。
…もしかしたら自分、いまテレビに映ってるのかも知れないな。
若宮は、夕方のニュース番組を録画予約して来なかった事を少しだけ後悔したが、大事件の最中にそれは流石に不謹慎だと慌てて自分をたしなめたのだった。
一方、【Kコーポレーション】本社ビル内を歩く警視庁捜査一課の草壁警部はいつになく苦々しげな顔つきになっていた。それは勿論、非番の日に呼び出され、こんな酷い雨の中わざわざI県くんだりまで足を運ばされるはめになったというのもあるが、それよりも、このような奇妙奇天烈な事件が起こったお陰で【Kコーポレーション】の業務機能が完全にストップし企業として致命的な窮地に立たされている事にあった。
何故よりによって【Kコーポレーション】なのだ!
持って行き場のない重苦しく苦い気持ちを胸に押し込めたまま、部下である捜査員たちに指示を与えていた草壁に【少女発見】の一報が届く。
草壁は部下を残したまま少女が発見されたという娯楽室へと急いだ。
―――――――
【11】Episode7.5前編、終了。【12】Episode7.5後編を経て、ついに【13】の大完結編へ…。
【本返し縫い】とは
言い得て妙だ
こういう 思わぬ言葉、喩えが出てくるところが流石だなあ
実は最初は、このエピソードは頭の中にはなかったのよ
でも、ストーリーの前半は完全に推理小説とか社会派サスペンスのテイストで、結末は完全にSFだから…そこを結び付けるのに、どうしてもひと捻り必要だった
このエピソードは読み手の頭を 一度 SF方面に大きく振る為に差し込んだ訳だけど…タイミングは難しかったなあ
全体の構成をみて、最も効果的な場所に…しかも 意表をつきつつ、わざとらしさは感じさせないようにしなきゃならなかったから
でも 書き甲斐のある部分でもあった
確かに若宮巡査は まだ ニュートラルな立場にいると考えられるよね
草壁警部みたいになる可能性もあるし、ラマン巡査のようになる可能性もある
それこそ、前のコメントの妄想青春劇場で登場する多部ちゃんみたいな存在がいれば、優しさや温もりのある暖かな道を選んでいけるって気がする
いやあ
やっぱり、人との出逢い 縁 って大切だなあ〜と改めて思った
始まりました
妄想 梶井青春劇場
むしろ こっちの方が新緑の初々しさがあるな プラス柑橘系な感じで
西島秀俊神木隆之介多部ちゃんのキャストはいいかも
で…そうだねぇ
草壁警部も多分 苦労人だと思うのよ そこから頑張って昇ってきた訳だけど…
そこで社会の大きな悪の仕組みに飲まれてしまった…っても 最終的に決めたのは自分な訳だけども
そういう“悪に引きずられる構図”としては、誘拐犯と通ずるところがあるかも知れないなあ
イイ若宮巡査すごい昔のMATCHのCM思い出した‥
あ、今更なんだけど誘拐犯西島秀俊サン博之くん神木隆之介くん(子役時代の)にしたら結構ハマるッス、自分的に
雨の中ただずむ若宮巡査
【チクショウ‥悔しいな】
『わッ冷たい』(キンキンに冷えた2本のMATCHで顔を挟まれ)
『ど〜した、冴えない顔して』
『お前な、あたたか〜い方をくれよッ』
『あ・ま・い・ゾあんたの情熱であたためなさ〜い』
―軽やかに去っていく幼なじみ(ポニ-テ-ルの多部未華子‥キレ-トレモンのCMの時の)―
『』
【なんだアイツ、励ましてくれたのか‥】
みたいな若宮巡査いいキャラしてる小中高大と野球をしてきたっぽいなあ〜
‥でも草壁警部も本質的には純粋だったんだろうな‥草壁警部は出世に目が眩んで‥パラレルワ-ルドの若宮巡査なんだ、彼は
【今、テレビに映ってるかも】
もっと上にいきたいって気持ち自体は決して悪くはないけれど上に行く方法(Kコ-ポレ-ションとの癒着)が悪かったんだろうなあ〜
小さなボタンのかけ間違いでずるずると悪い分岐点を選んでいってしまい‥
ってあの誘拐犯もそうだったような‥初期の段階で誰か正してくれるひとがいたら未来も違ったものに‥
若宮巡査にはラマン巡査やウルトラマンセブンのDVDが盗まれた(笑)時に対応してくれた警察官みたいなひとになってほしいなあ‥
で、7・5の部分をここに入れるのってなんか【本返し縫い】みたい(爆)初めて習った時その発想が斬新過ぎて理解出来なかった
なんかこどもの頃ってわからないことが多くて‥思い出ぽろぽろ現在のたえ子と小学生時代の回想の中のたえ子が入り交じる手法が全然理解できなかった
あと【七不思議】ね
ひっさびさにその言葉聞いた(笑)懐い懐いわあ〜
【学校の七不思議】
真夜中に四番目のトイレに入ると、異次元に吸い込まれてしまう‥
とか、紫の鏡また話が大いにズレてしまったけれどなんか忘れかけていたこども時代の感覚を思い出した《新緑の世代》のこころにちょっぴり近づけるかも!?‥とゆ-ことで
梶井少年だったら喜んで《新緑の世代》に入りそうではある‥(照れ)
照れるとこかよ
いやさ…これ一つの記事で納まる予定が…
あれあれなんか無理っぽいぞってなって…で、二つに分けたんだけど、(前編)って打った時 自分でも笑っちゃったもんなあ
それで結果【13】たぶん…がラストに
ありがとね〜
ごっ!ごめんっ
まっ、まだ読めないんだけどっ…
前編って
前編って…
ダメだっ
おかしくて♪
おかしくて♪
でっ、でっ、一番最後のトコだけ、チョンボで先に読んじゃったらっ
Σ(゜Д゜ノ)ノ!?
13。って
13。って
だっ!ダメだっ!
外に居るのにっ
外に居るのにっ
笑ってしまうっ
いやっ、いやっ、
トキノっちおつかれさまぁ〜
トキノっちが誠心誠意取り組んでくれているコトが良くわかるよっ
マジっ!プロフェッショナル
プロ意識の高さをマジ感じるよっ
みぃうも楽しみが増えて
ヤッタ〜マン♪
ああなんかそのようで
ありがとうございます
またスタミナ切らして落ちそうですが、頑張ります
タイトル打ち終わった時…
私も思わず吹いてしまった
ここにきて(前編)ってなんだ
小説ランキング上昇中
思い切り吹いてしも〜た