話題:初夢



『初夢』

明けましておめでとう御座います。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

と、ひとしきり挨拶も済んだところで記念すべき新年一発目のテーマは「初夢」。

俗に初夢において縁起が良いものとして「一富士(ふじ)、二鷹(にたか)、三茄子(さんなすび)」などが挙げられますが、このうち富士と鷹は見た事がありますが茄子はありません。思うに、この中では茄子の夢を見るのが一番難しいような気がしないでもありません。だのに(なのに)順位としては三番目。これが若干納得いかないのですが、どうでも良いと言えばどうでも良い話でもあります。ともあれ、富士も鷹も茄子もピンポイントで狙って夢に登場させるのはかなり難易度が高い。ここは一つ提案です。この際、キャビアの代わりによくランプフィッシュの卵が使われるように、初夢も代用品OKとしてはどうでしょうか。

例えば、【ふじ】の代用として「峰不二子」、「富士そば(立ち食い)」、「藤子不二雄先生」、「富士真奈美さん」等。【たか】の代用は「タカ&トシ」、「館ひろしさん(あぶない刑事のタカ)」、「たかたかしさん(作詞家)」なんかはタカが二つも入ってより縁起が良さそうです。【なす】の代用は電波少年に出ていたタレントの「なすびさん」や「那須サファリパーク」、「株式市場ナスダック」、「ナスカの地上絵」等。これぐらいの当たり判定だとかなりハードルが下がる気がします。

さて、話変わって、新年である2020年、私が見た初夢は『と或る駄菓子屋に行く』というものでした。この“と或る駄菓子屋”はもう三十年近く前から度々夢に出てくる店です。古めかしい細道の四ツ辻の角に軒を構える木造平屋の商店。店の前には昔ながらのノッポの郵便ポストがあり昭和の町並みが広がっている。店内は薄暗くてやや埃っぽいものの、意外と広くて、駄菓子の他にも文房具や雑貨、雑誌や古本などが列べられている。

子供の頃に通いつめた思い入れのある駄菓子屋が何度も夢に出て来るというのであれば理解出来ます。が、この店は全く知らないのです。にも関わらず常に同じ風景をもって度々現れるのがどうにも解せない。果たしてこれはどういったメカニズムによるものなのか?

子供の頃から馴染みのある数件の駄菓子屋の記憶に、好きな風景やレイアウトといった個人的な嗜好がプラスされた、言わば、記憶とイメージの複合的産物……恐らくはその辺りが妥当な解答でしょう。

しかし、それにしては妙にリアリティを感じさせる夢なのです。店の人間は二人で、七十代ぐらいのお婆ちゃんと(恐らくその娘さんと思われる)五十前後のオバちゃん。これもいつも同じ。現実には知らない人たちです。

もしかしたら……。私は思うのです。もしかしたら、この駄菓子屋は何処かに実在するのではないだろうか、と。その“何処か”とは何処なのか?それは、ズバリ、並行世界(パラレルワールド)です。並行世界の私がその駄菓子屋に通っていたのではあるまいか。そして、その記憶が夢の世界を通じて何らかの理由でこちらの世界の私に流れ込んで来た。或いはこの私の意識が次元、時空間を飛び越えて並行世界の駄菓子屋を訪れた、とか。

こういう感じで登場する場所は他にも幾つかあって、例えば、渋谷駅もその一つ。現実世界の渋谷駅は数え切れないぐらい訪れていますが、夢の中の渋谷駅はそれとは明らかに異なっています。そのくせ、出て来る姿は駅舎も周囲も同じ風景なのです。そして、駄菓子屋同様に妙なリアリティを持っていて、目覚めた後もずっとその内容をおぼえている。もしかしたら、この渋谷駅も並行世界に実在するのではなかろうか。

勿論、確証も何もあったものではありません。ふと、そんな事を思ったというだけの話です。

それにしても、夢というのはなかなか奥が深そうで興味深い存在です。私は毎晩、必ず三本立て以上の夢を見るので、機会があれば、その中で印象に残るもの、客観的に見て(ストーリー的、場面的に可笑しいもの)を簡単に書いてみるのも面白いかなあ、と思っています。という事で2020年も明るく楽しく参りましょう。


〜おしまひ〜。