話題:妄想を語ろう



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〇〇月××日

【水曜日】

(曇り、時々、メリーポピンズ)

『ムー的有給休暇の事』

今日は有給を取り自宅から車で小一時間ほどの場所にある里山へ。目的は、ライフワークと言っても過言ではない「UMAの探索」である。因みにUMAといのは未確認生物の意味だ。ウマではない。よって読み方もユーマが正解。

私の勤める会社は、以前紹介したように世界有数のグローバル企業である。福利厚生の充実ぶりも半端ではない。いわゆるホワイト企業だ。そのホワイトの一つが有給制度で、そこには実に様々な種類の有給休暇が存在する。今回、私が取得したのはその内の一つである[ムー休暇]。これは乃ち、雑誌ムーに載りそうな事柄(UFOや秘密結社などミステリアスかつオカルティックな事象全般)に関して取得出来る有給休暇だ。当然、其処にはUMAも含まれている。

可能ならばネッシーや雪男、モケーレ・ムベンベ、電撃の南部さんなど世界的に有名なUMAの探索に出掛けたいところだが、流石にそれは時間的にも金銭的にも難しい。が、悲観する必要は全くない。日本国内、私達の身近な場所にも意外とUMAは存在するのである。今回、私が探索するUMA【シロ黒猫】もその一つ。

【シロ黒猫】またの名を【ホワイト黒猫】。読んで字の如く、黒猫であるにも関わらず全身の毛が真っ白という実に奇妙な生き物である。

朝7時、集合場所である里山大公園の入り口広場には平日にも関わらずかなりの人数が集まっていた。ざっと数えるに5人〜300人ぐらい。これだけでもUMAという存在の普及度と人気が見て取れる。

この里山は都市圏の近くではあるが面積がかなり広い上、木々も相当に深い。ちょっとしたジャングルだ。そこで私達はゾウさんチーム、キリンさんチーム、カバさんチームの3班に分かれて探索を開始する事にした。班同士の連絡は各班のリーダーが持つトランシーバーで行う。どうしてスマルトプホーネ(スマホ)を使わないのか。それは、トランシーバーの方が探険の雰囲気が出るからである。

そんなこんなの探索開始から一時間、私のトランシーバーにゾウさんチームのリーダーから連絡が入った。

「何やらカラフルな松茸がぎょうさんあるんじゃがのう〜。採ってもよかろうもん?」

UMAとはまるで関係のない報告だ。此処は一般開放されてはいるが一応は国有地である。勝手に採集するのは流石にまずいだろう。それに、恐らくそれは松茸ではない。「ゾウさんリーダー、残念ですけど採るのは止めておきましょう」。

以降もたびたび報告が入るが、いずれも単なる白猫の見間違いであった。

ところが、誰もが諦めかけた探索終了時刻ギリギリの午後4時半、まさかの「シロ黒猫発見!」の一報がカバさんリーダーから入ったのである。ゾウさんチーム、キリンさんチームの全員が慌ただしく現場に駆け付ける。一気に高まる期待と緊張。幻のシロ黒猫、ついに発見か!皆の視線が一点に釘付けになる。果たして、そこに居たのは幻のUMA【シロ黒猫】……


……ではなく、単なる【野良パンダ】であった。

確かにパンダは猫科の動物で白黒なので【白黒猫】と言えなくもない。しかし、それは【白黒の猫】であって、私たちの探す【白の黒猫】ではない。如何にも、そそっかしいカバさんリーダーらしい間違いだ。だが、それを責める者は誰もいない。これぞワンチームである。

結局、今回の探索で幻のUMA【シロ黒猫】を見つける事は出来なかった。だが、私たちは諦めない。いつの日か必ず【シロ黒猫】を発見し、日本のUMA史の一頁を飾るのだ。


〜おしまひ〜。

[付記]今回の探索で遭遇した動物一覧。

◆普通の白猫5匹
◆その他の猫7匹
◆刑事犬カール1頭
◆ジャイアントパンダ8頭
◆マンモス6頭
◆サーベルタイガー3頭
◆ダンゴ虫2万9786匹
◆若人あき ら(我修院達 也)さん1人――記憶を失くしているようなのでちゃんと保護しました。