虚実の週間(ぐだぐた)一行日記。


話題:詩人の一行日記


【月曜日】

(晴れ 時々 チョコベビー)

年末の忘年会に向けてマチャアキ的な特訓を開始する。


【火曜日】

(曇り のち 仲代達矢の視線)

生牡蠣に食当りした十五周年記念日を、これでもかというぐらいに加熱した牡蠣で祝う。


【水曜日】

(雪 のち 雪見だいふく)

約束通り、今日は一度もオリバーくんの事を考えず過ごしたぞ。


【木曜日】

(晴れ のち モンゴリアンチョップ)

カラオケでアースウインド&ファイアの曲を歌い過ぎたせいで、声が裏返ったまま戻らなくなる。


【金曜日】

(雨 時々 ちゃぶ台返し)

左右の眉毛が繋がりそうなので眉間に関所を設け、通り抜けを厳しく監視する措置をとる事にした。


【土曜日】

(雨 のち ハンターチャンス)

「お歳暮にハム贈るから」と言ったら「こっちもハム贈るつもり」と返されてしまい…これじゃ単なる“ハムの交換”ではないかと思いつつも…年末のハム贈答合戦が今から楽しみだ。


【日曜日】

(晴れ のち 玉置浩二の吐息)

クリスチャン・ディオールは江戸時代にはキリシタン・ディオールと呼ばれていた、という話は一度も聞いた事がないのはいいとして、今度はもうちょっとマシな日記を書こうと固く心に誓ったのである…と、日記には書いておこう。



残り度数1のテレホンカードのような話。


話題:140文字小説に挑戦!


‐『電話』その1‐


夜の11時半。玄関のチャイムが鳴った。バイク便だった。何だろうと思いながら届いた小包を開けると、見覚えのある携帯電話が入っていた。会社の同僚、佐久間のだ。同梱のメモ用紙にはこう書かれていた。

「“今日中に電話が欲しい”と留守電に入っていたので、取り急ぎ、バイク便で届けさせます」


【終】



‐『電話』その2‐


湖に携帯電話を投げ入れた。水面に波紋を描きながら沈んでゆく携帯は、やがて、光すら届かぬ深き湖底へと達し、携帯電話であるにも関わらず“コテイ”電話と呼ばれるのだろう。

という駄洒落を実践してみたい…勿論、他人の携帯電話で。


【終】。


〜編集後記〜

最高気温が10℃を下回ると、脳ミソがシャーベット状になります。

小さな変化は大きな変化。


話題:文字や言葉


不意に口の中に違和感を覚えて目が覚めた。頬の内側の軟らかな粘膜に極めて小さな粒状の存在を感じる。口の筋肉を上手く動かして粒状の物体を舌の上に導く。のち、指先でつまみ上げる。寝台灯の薄明かりに照らしてみると、どうやら、それは黒ゴマのようであった。夕食の赤飯か。歯はしっかり磨いたつもりだだが、磨き残しがあったのだろう。

ベッドサイドの置き時計の夜光針は午前3時を指している。まったく中途半端な時間だ。眠い。取り合えず目は開いているものの意識は半分以上寝ている。

この黒ゴマをどうしようか?本来なら、ベッドから出てゴミ箱に捨てに行くところだ。が、如何せん眠い。おまけに寒い。面倒くさくなった私は、黒ゴマを指先でピーンッと上に弾き挙げ、全てをウヤムヤにする事にした。明日、掃除機をかければいい。うん、そうしよう。

黒ゴマを人差し指の爪でピーンッと勢いよく弾き上げる。アディオス、黒ゴマ。そして、おやすみ。

かようにして二度寝に入った私であったが…クンクン…クンクン…何やら香ばしい匂いがして、再び目が覚めてしまった。いい匂いだ。カラッと揚った油の匂い。それから、和風の出汁(ダシ)に醤油の香りもする。どうやら、その匂いは上の方から漂ってくる感じだ。これは知っている匂いだ…何だったっけ…。匂いの正体を思い出そうと努める私。しかし、やはり眠気には勝てなかったようで、そのまま寝てしまったのだった。

朝、目が覚めるのと同時に、私は解答を得た。そう、あれは間違いなく甘辛いタレの掛かった天ぷらの匂いだ。しかし…疑問は残る…何故、深夜に突然天ぷらの匂いが漂ってきたのか、だ。

その疑問に対し、朝の爽やかな頭は一つの冴えた答えを導き出した。それは、つまり、こういう事……

私は口の中に残っていた食べカスの黒ゴマを指先で勢いよく上方に弾き上げた。恐らく、弾き上げられた黒ゴマ[、]は、天井にぶつかり、そのままくっついてしまったに違いない。結果どういう事が起きるかと言うと…[天井]に黒ゴマの[、]がくっついて…[天丼]になるのだ。あの匂いの正体は天丼。私が黒ゴマを弾き上げたせいで、天井は一時的に天丼へと変化したに違いない。やがて、張り付いていた黒ゴマが落ちて天丼は再び天井へと戻った…と。

天ぷら。テンプ〜ラ。たかだか[、]一つで生じる大きな変化。うむ、この解答ならばポルトガル人もきっと納得してくれるだろう…。


【おしまい】。


びっくり箱異聞。


話題:みじかいの


いや、この前ね、X'masパーティーの余興に使おうと“びっくり箱”を買いに行ったんですよ。で、一応あるにはあったんです。大きいのから小さいのまで、けっこう種類もたくさんあってね。ただ、これが…何て言うか…今の“びっくり箱”って、昔の“びっくり箱”とは全然違うんですね。

昔のやつは、箱の上蓋を開けるとバネ仕掛けのピエロの首みたいなのがびょ〜んと飛び出してきて「うわっ!」となる…みたいなパターンだったじゃないですか。でも、最近のやつはそうじゃない。まず、蓋が二重になっていて、一番上の蓋を開けると、その下にもう一枚蓋があるんですよ。で、同時に音声ガイダンスが内部のスピーカーから流れて来る。

「この箱は“びっくり箱”です。二枚目の蓋を開けると、中からバネ仕掛けのピエロの首が飛び出して来ます。飛び出す首の長さは約30センチ。ですので顔を40センチ以上離した状態で開けるようにして下さい。ピエロの首には極めて柔らかな素材を使用していますが、万が一ぶつかってしまった場合を考え、念の為に溶接用のシールド等で顔を防護しておく事を強くお勧め致します。繰り返しになりますが、これは“びっくり箱”です。その事を十分に踏まえた上で、心の準備が完全に整った状態で、特に心臓の弱い方はくれぐれもびっくりしないよう、静かにゆっくりと慎重にお開け下さい。なお、この“びっくり箱”を開けた事で生じるいかなる事態に関しても当社は一切その責任を追わない事と致します。さあ、大変長らくお待たせ致しました。音声ガイダンスの終了と共に中蓋のロックが解除されますので、備えの出来た方は箱をお開け下さい」

いやあ、ここまで念入りに前置きされたら、もう“びっくり箱”でも何でもないという。でも、どうやら最近の“びっくり箱”って、消費者からのクレーム対策なんですかね、どれもこういう作りになってるんだそうです。まったく、これでどうやってびっくりしろと。いや、むしろ“びっくりしないように”と箱は言っているし。まあ、これも時代の流れなんでしょうね。びっくりしないびっくり箱。いや本当“びっくり”です。


【終】



☆★☆○★☆


この話は、「140文字小説」として前の記事に載せようと書き始めた物ですが、収まり切らなかったので、またちょっと違う形で日を改めて掲載致しました。

それはそうと、“びっくり箱でびっくりした経験”ってあったかな?…うーん、どうも無いような気がする。f(^ー^;


矢と豆。


話題:140文字小説に挑戦!


‐その1『本格的に』‐


深夜のバーのカウンター席で二人の男が親しげに話をしていた。

男A「いや参ったよ、カンさん」

男B「どうした?」

男A「昨日の夕飯、何食べたのか全然思い出せなくてさ…こりゃ本格的にボケてきたかな」

男B「いや、その程度なら問題ないさ。俺なんか、いくら考えても、お前が誰なのか全く思い出せないもの」




‐その2『水溜まりの釣り』‐


道路の水溜まりで釣りをしている男がいた。気になったので「釣れますか?」と話し掛けてみた。すると…

男「けっこう釣れるよ」

私「えっ、こんな水溜まりで何が釣れるんですか?」

男「話し相手。アンタみたいな」


【終】


いやあ、140(260)文字以内で話をまとめるのは、やっぱりムズカシい…。





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