話題:地味に恥ずかしかったこと


私の高尚な趣味の一つに《スーパーマーケットの散策》があります。地上の風景に四季があるようにスーパーやデパートの店内にも四季折々の商品風景があり、そういった季節感の違いを楽しむのです。

そんな感じで、その日も私は某大型スーパーの食料品売場をゆらりと散歩しておりました。商品のラインナップに初夏の匂いを感じながら歩いていた私の足が止まったのは冷凍食品のコーナーでした。

私の足を止めさせた物は何か?

それは冷凍食品のチキンカツでした。いえ、正確に言えばチキンカツが置かれている場所につけられている値札―価格表示のポップです。その価格は驚きの[47円]。一口サイズのチキンカツが6枚入りで[47円]。これは破格の安さ。もはや、ポップというよりロックです。

概して人は、自分の経験則やそれまでに培った常識から外れているものに対して少なからず警戒心が働くものですが、その時の私も正しくそうで、(これ…値札の価格が間違っているのでは?)、瞬間的にそう思ったのでした。

しかし、経験から少し外れているとは言え、有り得ない数字ではない。そこで私は、近くにいた若者のお兄さん店員Aに確認してみる事にしました。ところが…

店員A「あ、すみません。私、ここの店の人間じゃなくて、商品を搬入しているだけなので…」

何と!店員Aと思われた人物は、実は搬入業者Aだった!

しかし、彼はなかなか親切な男で、少し離れた場所にいる市毛良江さん似の店員を私の所に連れて来てくれたのでした。今度は間違いなく店の人間、リアル店員Aです。改めて私はチキンカツの値札について彼女に訊ねました。ところが…

リアル店員A「ああ、冷凍食品ですか…ごめんなさい、ちょっと部門が違うので…」

何と!店員は店員ながら、別部門の人間。リアル店員Aは別部門店員Aだった!

別部門店員A「申し訳ありません、冷凍食品担当の人間探して来ますので、ちょっとこのままお待ち頂けますか?」

またまた親切な。でも、正直そこまでして貰わなくても…そもそも、そのチキンカツを買うと決めていた訳ではなく、単に値札の価格が気になって訊いてみただけなので。

私「いや、ちょっと気になっただけなので…」

別部門店員A「あ、大丈夫です。すぐ呼んで来ますので。申し訳ありません、ちょっとお待ちください」

別部門店員Aはそう言い残して従業員専用の扉の奥へと消えて行きました。ややあって、その扉から何だか妙にオドオドした感じの、ミスタービーンみたいな若い男性店員が姿を現し、私の方に近づいて来ました。彼こそが冷凍食品部門の店員、リアル店員Aに違いありません。

リアル店員A「ええ…何でしょうか?」

眼が完全に泳いでいるところに一抹の不安を感じながらも、私はチキンカツの値札について再び訊ねました。

私「すみません。このチキンカツの値段なんですけど…[47円]って本当ですか?…何かちょっと安すぎる気がして」


《続きは追記からどうぞ♪》


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