話題:突発的文章・物語・詩



仲間とはぐれ元気なく街を歩く光の勇者【シャイニング輝】。気がつけば欽ちゃん走りとグリコのポーズを交互に繰り返す不自然な歩き方になっている。だが、心配はご無用、勇者は決してテンパっている訳ではない。

この歩き方こそ、何を隠そう勇者一族に代々伝わる“幸運を呼ぶ歩き方”なのである。

但し、この歩き方を長時間続けると、顔が徐々にコアラかカピバラかプレイリードッグかオオアリクイの何れかに似てくるというリスクがある。どの動物の顔になるのかは完全なランダム。通販のお買い得商品で布団や枕カバーの色がこちらからは選べないのと似たシステムと言えるだろう。

だが、今はリスクを気にしている場合でも無ければラスクを食べている場合でもない。願わくばオオアリクイは避けたいところだが、今のプロ野球のドラフトと一緒でこちらに選択権はない。ロッテに指名されても文句は言えないのだ。兎にも角にも、勇者は幸運を必要としていた。

そんな【シャイニング輝】の前に突如として、背広服姿の男が行く手をふさぐように立ちはだかる。

敵か味方か!?

にわかに張りつめる空気。

やがて背広服の男は【シャイニング輝】の眼前にマイクを差し出しながら言った…

「おはようございます。ちょっと宜しいですか?ブラウン・モーニングリポートです」

何という幸運!光の勇者はついに電気カミソリ派の夢である“ブラウンモーニングリポート”のモニターに選ばれたのだった!

恥ずかしい歩き方だからこそ呼び込めた幸運。幸せは歩いて来ない。だから歩いて行くんだね。光の勇者は歩く事の大切さを改めて強く感じていた…。


【終】


そして次回…

全長20メートルのシラスを釣り上げた伝説の釣り師がついに登場する。

狙うはアマゾン川に生息すると云われる幻のピラニア。果たして伝説の釣り師は、美川憲一さんの顔をした幻の人面ピラニアを釣り上げる事が出来るのか!?


次回あらすじ大作戦#10『一匹も釣れずに魚屋で魚を買って帰り、家族には“釣れた”と言い張るお父さん』にアマゾン川も蒸発する!