話題:ちょっwおまw

巷における人々のマナー意識の低下が叫ばれてより久しい昨今。

私は、その縮図とも云うべき光景をある昼下がりの電車内に見た。

何とも驚いた事に、車両内にいる全ての人間がチーズバーガーをもしゃもしゃと食べていたのだ。

平日の昼間ながら車両内はそこそこの混みようで、立っている者を含め三十人ほど居たように思う。その構成は老若男女が程よくブレンドされたもので、一つのグループとは思えなかった。それら個別の約三十人全員が揃って同じチーズバーガーを食べているのだから、これは異様な光景と言えるだろう。

しかし、私の気に引っ掛かったのは、その三十人の不思議なシンクロニシティではなく、“チーズバーガーを食べる”という行為そのものだった。

こんな風にだらしなく平気でチーズバーガーを食べる…。

私は思わず眉をしかめた。

何というマナー意識の低さだろうか!

そして、そんな恥じらいを知らぬ人たちを眺め続ける内、ついに私の中のマナリスト魂に火が着いたのだった。

よし!こうなったら、私が皆にマナーの何たるかを教えてやろう!

幸いな事に、その時の私には十分な備えがあった。

意を決した私はフンガーフンガー!と鼻息も荒く車両内を歩き廻り、だらしなくチーズバーガーを食べる一人一人全員にキッパリと言い放った。

「食事する時は前掛けナプキンをして下さい!服を汚さないよう物を食べる、これが食事のマナーです!」

そして、鞄から“前掛け用のナプキン”を取り出し全員に手渡したのだった。

いやいや、前掛けのナプキンをたくさん持っていて本当に良かった。


―おしまい―。


【エピローグ】


それから私は、自ら率先して前掛けナプキンをした後、ホームの立ち食い蕎麦屋から、やむを得ずテイクアウトしたカレーうどん(注――ちょうど食べようとした所で電車が来たのでやむを得ず丼を持ったまま乗り込んだ。これは不可抗力なので仕方ない)を食べ始めたのだった。

そう言えば、先ほど私が電車に乗った際、閉まったドアの窓を叩きながら、立ち食い蕎麦屋のオバちゃんが何か叫んでいたが…アレは何を言っていたのだろう?


―おしまい―。