話題:都市伝説を話してみる。

かれこれもう8時間近くも車で林道を走っていた。A県の或る山の奥深くに存在する林道だ。地図に拠れば一応は県道であるらしいのだが、この8時間で只の一度も対向車にすれ違わなかった事から考えると、恐らくは地元民ですら殆んど利用しないような、廃道に近いものらしい。

何故、私がそんな道を走っているのかと云うと、それは、この山の奥深くに【地図には載っていない幻の隠れ里】が存在するという噂を耳にしたからだ。聞いてしまった以上、都市伝説研究家として放ってはおけない。そこで遥々数百キロも車を飛ばして噂の地であるA県の山へと入ったのだが…。

それにしても…

林道に入って8時間。いまだ隠れ里の入り口にすら辿り着けていない。私は自分の軽率さを少なからず後悔していた。ここはやはり一旦麓の町に宿を取り、聞き込みをするなど生の情報を集めてから入山すべきではなかったのか?

しかし、今更過ぎた事を悔やんでも仕方ない。あまりクヨクヨ考えて頭がハゲるのも困るし、それに8時間とはいえ、その内の7時間は路肩に車を停めて仮眠をとっていただけなのであまり疲れてはいない、と言うかむしろ気分はスッキリしている。

経験的に言って、たっぷり眠った後というのは意外な程あっさりと問題解決の糸口が見える事がある。が、勿論、そう上手く行かない事も多々あると言う事も経験的によく知っている。つまり…結局、どっちなんだ?

そうこうする内、走行する私の視界に一体の異様な風体をした地蔵の姿が飛び込んできた。間違いない。この異常に鼻の長い地蔵―通称“比乃木尾地蔵”(ぴのきおじぞう)―こそが、問題の隠れ里の入り口なのだ。

車を降りて地蔵の背後を確認すると、情報通り、そこにはー本の獣道があった。

よし。此処まで来れば隠れ里はもう見つかったも同然だ。掴んでいる情報に拠れば、[比乃木尾地蔵の後ろの獣道を道なりに真っ直ぐ進めば、隠れ切支丹村(キリシタンむら)は目と鼻の先]との事だからだ。林道に入ったのが早朝の4時なので現在はちょうど正午ぐらいだろう。隠れキリシタン村まで徒歩30分として、村で2時間程休んでも再びこの比乃木尾地蔵の所に午後3時には戻って来られる。ちょうどいい案配だ。私は勇躍、隠れキリシタン村へと続く獣道を歩き始めたのだった…。

だが…


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オチは非常にクダラナイので真面目に読まないように♪(/▽\)♪



〜後編へ続く。