話題:文学



本の裏表紙と云うのは、なかなか侮れない存在だと思う。

多くの場合、裏表紙には本編の要約のようなものが短い文章で書かれている訳だが、その出来の良し悪しは意外と重要で、ことにその本を買おうかどうしようか迷っている場合などは最終的な判断の拠り所になる事も少なくない。裏表紙をざっと読んで面白そうなら買い、いまいちなら買わない、そんな感じだ。

そんなふうに長年、数々の本の裏表紙を読んできて、ふと思った事がある。それは『裏表紙を独立した一篇の読み物として扱っても良いのではないか?』と云う事である。

実際、裏表紙の面白さに釣られて買った本を、いざ読み終えてみると、結局、裏表紙の部分が一番面白かった…などと云う事も珍しくない。いっそ、本編など無くして裏表紙だけにした方が完成度が高くなったのではなかろうか、と。

思えば、裏表紙と云うのは当然、紙幅が限られているので、どうしても書き手は慎重且つ適切に言葉を選ばざるを得ない。それは詩や俳句、短歌の書法に通じるとも云えるわけで、そう考えると、時に裏表紙に詩性や抒情を感じたりするのも納得がゆく。

そこで今回は、裏表紙を独立した一篇の読み物として提供すべく、架空の短編集の裏表紙を実験的に書いてみようと思う…。


《続きは追記からどうぞ♪》

 
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