話題:どうでもいい報告

人が生きて行く為に必要な三つの物と云えば…@空気、A水、そしてBお惣菜でありますが 、本日はそのBお惣菜のお話。

この前ふらりと立ち寄った某大型ショッピングモールの食品売場で【詰め放題お惣菜バイキング】なる地味な企画イベントをやっていたのです。内容は読んで字の如しで、バイキングヘルムをかぶった毛むくじゃらな北欧の海賊たちが、赤ら顔でお惣菜を詰め込んでくれるというものでは無く、バイキング形式で列べられている八種類のお惣菜を、用意されている専用パックに好きなだけ自分で詰め込めるというものです。

その八種類とは、

@鶏唐揚げA回鍋肉Bベーコン玉子ホウレン草炒めCイカとエビと野菜のチリソース…

…それと、何だったかな?…うーん…

Dピラニアの刺身E照り焼きアンモナイトFゴムホースのぶつ切りG笑い茸のソテー

まあ、だいたいそんな感じだったと思います。

さて、問題はその中のCイカとエビのチリソースです。

一見、大皿には【イカとエビと野菜のチリソース】がたっぷりと載せられているように見えますが…よくよく見てみると、イカとエビが影も形もなく、あるのは大量のチリソースと野菜のみなのです。

恐らく、客が皆、イカとエビという固体のみをピックアップして詰め込んだのでしょう。確かに、コストパフォーマンスを考えれば、その方が得です。

そこで、余程この状況を店の人に伝えようかと思ったのですが、そうなると何だか買わないといけないような雰囲気になりそうなので、少し様子をみる事にしました。

すると、案の定、詰め放題に参加する客たちは一瞬【イカとエビと野菜のチリソース】に手を伸ばしかかるも、イカとエビの不在に気づき慌てて手を引っ込める、そんな、ちょっと素敵な光景を何度も見る事が出来ました。

私としては、一人ぐらい奇特な人が居て、泰然自若としながらチリソースのみをパックに詰めるシーンが見たかったのですが、残念ながら、そのような大人物が登場する事はありませんでした。

そうなると、気になるのがイカとエビの復帰時期です。舞台の上に主役が戻るのを見届けからでないと、私としても帰るに帰れません。果たして、主役のスタスキー&ハッチ(イカとエビ)はいつ舞台に戻ってくるのか?

ところが…

五分後…不在。

十分後…不在。

このままでは、主役不在のスピンオフ惣菜となってしまう…。

こうなったら、もう、鮮魚売場からイカとエビを持ってきて勝手に混ぜ入れるしかない…

今の自分に出来る事。

それは、小さなバイキング・ビッケになる事…

そう思い始めた十五分後、鮮魚売場からイカとエビを持ってバイキングコーナーに戻ってきた私の目に映ったのは、ついに復帰した主役のコンビ、ジョン&パンチパーマでした。

私は安堵の吐息をつきながらバイキングヘルムを脱ぎ捨て、店を後にしました。

夏の日に十五分だけ現れたトワイライトゾーン。それは北欧のバイキングに伝わる《夏のピリ辛タイム》なのかも知れません…。


【終わり】。