話題:ねぇねぇ知ってる?…
街は大きな五線譜です。
そして人は、一つの小さな音符です。
そんな何気ない日常には、実に様々な音楽記号が潜んでいます。それは目には見えません。しかし、間違いなく其処にはある種の音楽記号♪が存在しているのです。
例えば、
階段を降りていて、もう一段あるつもりで足を踏み降ろすと、実は既に階段は終わり普通の平らな地面になっていて、足がちょっと挫いた感じでジーンとなる。そんな経験は誰しもあるでしょう。
その時、実は、ある音楽記号♪が飛び出しているのです。
その音楽記号♪とは、そう… 【メゾフォルテ】(やや強く)に他なりません。
どうです? 何となく理解して来ましたでしょう?
これが、机の脚に小指の先をぶつけた時には【フォルテ】(強く)、あまりにも綺麗に磨かれ過ぎていて何も無いように見えるガラス扉に正面から思いっきり激突した時には【フォルティッシモ】(極めて強く)と変化してゆきます。
このように、私たちの日常には和男の音楽記号♪が潜んでいます。
家を出た後、ガスの元栓や玄関の施錠が気になって仕方なく引き返した事、あると思います。
その時の音楽記号♪はもちろん【ダ・カーポ】(最初に戻る)。
そこまではいかないけれども、立ち寄った喫茶店などに携帯や化粧ポーチなどの小物を置き忘れて、それを取りにちょっとだけ戻るような場合は【ダル・セーニョ】(セーニョの位置まで戻る)となります。
あくびは当然、【フェルマータ】(その音だけを延ばす)。
貧乏ゆすりは【ビブラート】(震わせて)。躓いて、おっとっとっと、と前のめりで歩を刻んでゆく【スタッカート】(音を短く切って)。とまあ、その辺りは判りやすいところでしょう。
逆に判り難いところでは、
年齢と共に頬っぺたや下っ腹がたるんでくる【レタルダンド】(だんだん緩やかに)などがあります。
それから…
各駅停車の列車を途中の駅で降りて急行に乗り換える時の音楽記号♪は非常に判りやすく、【アレグロ】(快速に)となりますし、急行では最寄り駅に止まらないので準急に乗り換える場合は【アレグロ・ノン・トロッポ】(快速に、しかし速すぎずに)と、ややスローな感じになります。
そして、忘れてはならないのが…鮪やサーモンなどの刺身を柵で買ってきて自宅で切った際、ちゃんと切ったつもりが完全には切れていなくて、箸で一切れ摘まんだら、芋づる式に全部繋がって持ち上がった時です。この場合の音楽記号は【レガート】(切れ目を感じさせないように)となります。
他にも、炎天下に長時間駐車していた車の中の狂おしい迄の熱気は【ア・パッショナート】(情熱的に)、同窓会で数十年ぶりに再会した友人の頭がすっかりツルっ禿げになっているのを見た時の【ブリランテ】(光り輝くように)などなど…日常に潜む音楽記号♪はまだまだたくさん存在します。
人間は歩く音符です。
人が歩けば、そこにメロディが生まれます。
人と人とが出逢う時、そこにハーモニーが生まれます。
そう…
人世とは、不思議な一枚の楽譜なのです…。
【フィナーレ】(終曲)。
では…また♪ヽ(´▽`)/