話題:テレビについて
匂いの出るテレビ。
恐らくは実現可能でありましょう。
以前、私を含めた友人四人でテレビを観ていた時、番組の中に登場した料理を見て、友人の一人がこんな事を言ったのです。
「ああ、せめて匂いだけでも届いてこないかなあ〜」
すると、それに対し、別の友人が
「いや、無理だろ」
と笑い、残る私たち三人も「だよな」と笑いあったのですが…
笑いながら、私は思い始めていました。
ちょっと待てよ、と。
【匂い】というのは、俗に【匂い分子】と呼ばれている、七つの原香を基本とした物の分子構造と外形によって決定される訳ですが、その“分子構造ならびに外形”を再現しさえすれば【匂いの出るテレビ】を造る事も可能なのではないだろうか?
つまりは、こういう事です。
撮影スタジオの中に、料理が放つ匂いの分子構造を解析する機械を設置し、その解析データをデジタル信号として一般家庭のテレビに情報として送り込む。
家庭のテレビ側では、送られて来たデジタル情報を元に、テレビ内で匂いの分子構造と外形を再構築し、再現された【匂い】をテレビ画面から放出する。
いわば、【匂い】のコピーという訳です。
もちろん、それには家庭のテレビの機械内に【あらゆる匂い分子のもと】を予め入れておく必要があります。
技術的には、はっきり言いまして、かなりハードルが高いとは思いますが、原理的には電話やFAX などに近いとも考えられますので、“理論的には可能”であるような気がします。
ところが
現実的問題として、テレビに映っている【美味しそうな超豪華料理】が“匂いだけ”伝わってくるというのは、逆に、食べられない腹立たしさや、手が届かないもどかしさを呼び起こすだけのようにも思えてならないので、例え技術的に可能となっても普及には至らないかも知れません。
技術が其処まで来ているのならば、“匂いだけ”などとは言わずに“料理そのもの”を、家庭のテレビ側で再現した方が、恐らくは人気が出ると思われますので…。
《終わり》。