話題:言葉遊び
「この世は“陰と陽”で成り立っている」
そんな思想のせいなのかは判りませんが、或る言葉や表現には“それと対になる言葉や表現”が存在する場合が多いように思います。
それらは俗に対義語や反対語と云われるものですが、それだけではなく、本来は同類でありながらも、そのイメージや性質から対称的に比較されがちなものもあります。例えば「猪木に対する馬場」など。
そして、対義語の多くは“上”を“下”に置き換えるなど直接言葉をひっくり返したり、比較される言葉を単純に入れ替えて意味を成立させるケースが多いのですが…
中には、単純に言葉を逆にしただけでは通用しない表現も存在するのです。
私も以前『名作文学の冒頭と末尾について』なる記事を書いた際に、危うく“冒頭”の対義語を“冒尾”と書いてしまいそうになり、冷や汗をかいた事がありました。
【頭】に対して単純に【尾】を持って来るだけでは駄目だったのです。
そこで今回は、“冒頭”に対する“冒尾”が存在しないように、“アレ”はあるけど“コレ”はない、そういった感じの言葉や表現を、例によって馬鹿馬鹿しいテイストでお届けしたいと思います…。
“太陽と月”プレゼンツ!
『アレはあるけどコレはない!!』
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美容室や床屋で…
『刈り上げはあるけど刈り下げはない』
頭の天辺が最も短く、襟足に近づくにつれ毛足がだんだん長くなってゆくカット方法。
床屋に行く度に、“あ、刈り下げで♪”とチャレンジしたくなりますが…恥ずかし過ぎて無理です。
イメージ的には、【ムッシュかまやつ】氏が近い感じかも知れません。
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忘年会の席などで…
『鍋奉行は居るが、鍋落ち武者は居ない!』
居酒屋の座敷で鍋を囲んでいると、突如として隣の部屋から“鍋奉行争い”に敗れた男(女)が、平家の落ち武者のようなボロボロの服装で飛び込んで来る。
…そんなシーンは見た事がありません。
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真冬の寝室…
『電気毛布はあるけど、ガス毛布はない!』
臭そう。危なそう。
夢見が悪くなりそう。
3つの“そう”で、恐らく今後もあり得ないでしょう。
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テレビ番組で…
『生放送はあるけど、焼き放送も煮込み放送も蒸し放送もない!』
まあ、普通に【録画放送】と云えば済む話なのですが…せっかくの“生”という強い言葉が活かされていないのが少し寂しい気がします。
本当は全然寂しくないですけど。
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