話題:小説の書き方


さて、前回は《起承転結》の構造的仕組みについて簡単に説明しましたが…既にお気付きの方もいらっしゃる様に、これはそのまま【四コマ漫画】の形に当て填まるものとなります。

勿論、これを小説とする為には更なる肉付けが必要となって来るのですが‥基本的な構造―いわゆる“基礎骨格”として、《起承転結》は、よほど前衛的な物でない限り、あらゆるジャンルの小説に共通する存在だと言えるでしょう。

そこで今回は、その《起承転結》を用いての【実践編】と云う事でありますが…前回の『果樹園の林檎の話』と同様に、《起》から考え始め、段階的に《承》→《転》→《結》と踏んで行きたいと思います。

因みに今回は構造を考える事がメインのテーマですので、構造が見て取り易い『短編小説』や『ジョーク話』に向けた書き方を考えて行く事に致しましょう。


先ずは《起》から。


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ここでは、ストーリー上の最初の場面を読者に対して提示します。この《起》場面に含まれる物(環境や状況、人物)により、ストーリーの性質が決定すると言っても過言ではないので、当然、重要度も高くなります。

もしも、壮大な話を書こうとする場合、《起》を書き出す前に少なくとも【主要な登場人物の設定】と【背景となる世界の或る程度の構築】、【ストーリー全体を通してメインとなるテーマの設置】を済ませておく必要があるのですが、いきなりそれをやろうとすると、その段階で匙を投げてしまう事になる可能性が大ですので、取り敢えずは【ごく身近にある場面】から書き始めるのがベストでしょう。

例えば‥

ごく一般的な一戸建ての民家。玄関の横が駐車場になっていて、車が一台停まっている。時刻は朝の八時。

そのような設定は如何でしょうか?

誰にでも馴染みがある風景なので、これなら、書き出しもスムーズに行けると思います。

とは云うものの…この時点で既に“多種多様な可能性”が実は内在しているのです。

先ずは車。停まっている車がサニーなのか、ランボルギーニ・ブラヴォーなのかで状況は少し変わって来ますし、もっと衝撃的に行きたいのなら、ロンドンの二階建てバスや、恐竜戦車(ウルトラセブンの怪獣)などを置けば良いのです。

 
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