人の眠りが羊を数えると云うならば、羊の眠りは逆に人を数えているのでしょう。


羊が一匹‥
羊が二匹‥
人間が一人‥
人間が二人‥


だとすれば、

去りゆく冬の灰色の眠りは、いったい何を数えているのでしょう?

やがて訪れる春の桜色でしょうか?

桜の花びら‥
一枚二枚‥

‥そんなふう。


他愛もない考え事と連れ立って歩いた冬の午后。


色醒めた冬空の下、

微睡みの羊が一匹‥

静かに春を待っていました。