遥か昔‥
遠い異国の地にひとりの“シャーペンオタク”が居ました。
彼は当然のようにヘタレ人間だったのですが、ひょんな事から[伝説のシャーペン]の在処が描かれた古地図を手に入れたのです。
地図に拠れば、[伝説のシャーペン]が眠っている場所はアラビア海の真ん中、やや右下辺りに存在する絶海の孤島の洞窟で、どうやらその洞窟へは海側からしか入れないようになっているらしい。
オタクは迷いました。
何せ、これまでの彼の人生における最大の遠出が隣町の文房具屋でしたから、絶海の孤島など彼にしてみれば夢のまた夢だったのです。
しかし、彼は普通のオタクではありません。筋金入りのシャーペンオタクです。
『後悔するぐらいなら航海へ出よう!』
ついに、シャーペン欲しさが冒険の不安に打ち勝ち、これまでコツコツと貯めたお金でレンタル船を借り、同時に何人かの船員を雇い入れ、いざ航海へと旅立ったのでした。
初めての船旅。彼は出航から僅か2分で、もうデロデロに船酔いしてしまい、以降、船室のベッドに釘づけのまま過ごす事47日間…。
その間には、伝説の怪物クラーケンから危機一髪で逃げ延びたり、未曽有のハリケーンに襲われたり、数多くの困難があったのですが…
シャーペンオタクは、その間中ずっと船室のベッドで極度の船酔いのため意識朦朧としていたので、旅の苦難の事など全く何も気付かずに居たのでした。
そして迎えた48日目…。
ついに一行は、宝の地図に描かれた孤島を発見したのでした。
通常の航路から大きく外れたその小さな島の西側の絶壁の下には洞窟が見えています。
どうやら船のまま入る事が出来そうな入り口の大きさです。