「ハリベルちゃん…愛って、わかるの?」

彼女の問いかけは、唐突だった。唐突で、それでいて『愛』を認識できなければ『愛する』ことなんて考えてもみないだろう。



ハリベルちゃんは、愛を知っていたんだね。

それを虚になった時に忘れてしまった。



でも、ハリベルちゃん……

思い出したの?

愛を、愛することを………。


ボクと出会ったから?




“ボクは誰でも愛せる”か。

それって―――

「ハリベルちゃんを、愛してる」
言葉にしてみる。


ボクの想いを
キミが望むことのような気がしたから。









…そう


だから、


「なら、なんなんだろうね」


「…ハリベルちゃん」

「あ、あった。お茶屋さん。」



よく見たら道路の向かい側に
『‐*SHORT*TEA*‐』という看板が在った


「ハル、あたしはね」

あなたにあたしは何に見えるの?

「落ちてしまったら誰にも見てもらうことが出来ないの」


それでも



あなたは

拾ってくれる


「いつかは、


愛し合えるね」


あたしは二度も



闇から出して貰えたのに


また闇に戻るだけ


痛みすら

愛するさえも

あたしには「無にしか成らない」



「  ハリベルちゃん

普通、虚は罪人でなければ

死神が罰を下したわけでもないの。


キミは ただ

堕ちてしまっただけ



ボク達は その さ迷える魂魄を尸魂界に導くんだ。

慈しみを 愛を 込めて  」


無になどならない。

キミはそこに居るのだから。



「ボクと、来ない? 尸魂界に  」





何を言い出すの




掴めない


ハルは温かく、寒さを溶かしてくれる


それでも、

どうして



「ハルは知らない

あたしがなんなのかなんか


お前達はあたしから奪うじゃない


奪ってきた


お前達があたしから愛も幸せも、心を奪ってきたんだ!!


お前らがあたしを罪人にしたせいで、


あたしはお前達への憎しみのせいで存在になった



お前達じゃない


あたしを殺して、あたしを虚に作ったのなんか


ハルなんだ」



あたしは何が言いたいの

あなたになんて伝えて
どう、ありたいの



「 」

ハルはごめんと繰り返し、あたしを見てる


「ハル、」あたしは


あなたが



「あなたは愛してる。

でもあたしは憎しみがなければ虚じゃなくなる


ハリベルは憎しみを失えば


ハリベルは存在しないの」


愛を持つのは

愛してるから


でも 憎しみは

「あたしは…あなたじゃ生きれない」


そんな事無い でも

ハリベルは憎しみの無いハリベルなんか知らないの

だから


愛だけじゃ


恐くて逃げるしか無いの



「着いたよ」

ハリベルちゃんはお店を通り過ぎてしまいそうだったので、ボクは教えてあげた。


お茶を買って ホテルに戻って

虚圏に帰る。



ボクは調査を終えて 尸魂界に帰る。


ボクはここまでキミについて来たけれど
キミはボクとは一緒に来てはくれないんだね。


「独りで…戻れるよね?」

女の子を放っておいて帰るなんてボクらしくはないね。

だけど、ハリベルちゃんにはそのほうがいいだろう。


ボクはハリベルちゃんに背を向けた。
別れの挨拶はしない。