†枝垂桃の宮†

「雪、積もったぞ―！」

突然左右に戸を開け放ち
部屋の空気を動かす貴方


私は大袈裟に身震いしてみせる



「雪ダルマ作ろう！」

「嫌です」


「じゃあ雪合戦しよう！」

「もっと嫌です！」



縮こまる私の前に屈んで

「折角なんだ。雪で遊ばないか？」



その目に雪の一片(かけら)をキラキラさせてる






「お家の中がいいです」

「なら、カマクラ作ろう！」



雪色の髪を翻して
外に誘う貴方


もう私の返事も聞かずに
連れ出された





「出来てきたぞ」

結局、一人でカマクラ作っているくせに
私に話し掛けてくる


「寒いですよぉ。早くカマクラ作って下さい」

「もう、すぐだ」



本当はゆっくりで結構です

後でいっぱい暖めてもらいますから




晴れた冬の空が似合う貴方を


この空の下

カマクラの中



独り占めする　冬の醍醐味