SWeet On ...

12/05/09
彼ら1

話題:連載創作小説








なんて暇なんだろう。

私は小さくため息を吐いた。

一昨日見たあの修羅場は昨日までには片付いてしまった。
もちろん、アナログからデジタルなことまでとんでもなく酷使された側からすればいいことなのだけど、これだけ落差があると気持ちのコントロールがうまくいかない。


だれかスケジュール管理すればいいのに。

昨日の朝一番の状況を、ふわふわと思い出しながらそんなことを思った。







***


あの朝、人事部長がわざわざ私の元まで来たかと思えば、とてもいい笑顔でこう言ったのだ。


「今日から戦略室勤務ね」




と。
あのときの周りの反応はきっと一生忘れないだろう。
女性社員の黄色い声に男性社員の哀れむような目。

その日は戦略室が個別に受注した、別の会社の新戦略のプロモーションの前日らしかった。

今まで仕事してたのかってくらいバタバタと作業する彼らにウンザリしていると、私の簡易デスクに西原がやって来て。


「幻滅しないでやってよね。
これでも連日残業した結果なんだから」


はあ、と曖昧に返した私に、今度は南田が若干むくれて続ける。


「向こうの専務に試されてるんですよ、納期二週間とかバカですか」

「バカの挑発に乗っかったバカはアイツだけどねん」


西原が差した先には、パーティションの向こう側。
バカというのは、来客用のソファで仮眠を取っている東条みたいだ。




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