18/09/23 23:59 (:単発/妄想(ジャンル無節操))
  ルチルと。47
話題:妄想を語ろう
最後に抱き締めた

その時


僅かに開いた扉から
ルチルの
鋭い眼差しが

ボルツの視線と絡む

ルチルに視線を絡ませたまま彼女の耳に言葉を呟く


呟き

彼女の肩をもう一度抱き寄せ

部屋を後にする。


「ボルツ‥貴方にしては随分ベッタリでしたね」


表情は笑っているが
目は鋭いまま


「惹かれるんだ」


ボルツの言葉が

空白の頭に突き刺さる


「惹かれる‥彼女に?」


素直なボルツの言葉
ルチルの心が

妙なざわめきと
焦りに支配される


「そう言えば‥先程彼女に耳打ちしていましたが、言ってもらえたら私から伝えましたのに‥」


「にんげんが」


ボルツにしては

珍しく
揺らぎがある


「‥にんげんが元の世界に戻れる様に、知っている事を僕が直接伝えたかった」

「直接、ですか」


棘を含んだ言葉

「もし僕がルチルに伝えたとして‥」

「あぁそうですね」

にんげんの世界に
帰らせたいボルツ


此処に居て欲しいと願う、 ルチル

「所でボルツ」


「‥なんだ」


「‥貴方、やっぱりくっつきすぎでしたよ」


「あれでも相当控えたつもりだった‥」

目が合っても

そのまま
抱き締める感情とは

「ボルツはにんげん‥いや、彼女をどう思うのですか?」


ルチルの言葉に
瞳が光を増す


「危険だと思う、が‥興味は尽きない」

たった今触れた感触を思い出す様に


ボルツが
自身の手を見る


「‥ダイヤモンドが言っている愛しいという感情が、これかも知れない」


ボルツの言葉に
息を飲むルチル


「惹かれる‥ですか」


ボルツは


私が有益な情報を与えないと考えている

彼女が、宝石の国に留まる様に


永遠に一緒にいられる様にする為に‥


そんな思惑が彼に見破られた気がして


拭いきれない気まずさを抱いたままボルツを見送った

「彼女を抱き締めた時‥欠片がいくつか落ちてしまったから直してくれ、ルチル」


「はいはい」


言葉は軽く


瞳は彼女のいる扉を目指し、手は心の底から急いて

扉を壊さんばかりに伸びる

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