盆だからと言って実家に帰る理由はない。墓参りなんかは一人で勝手にすればいい。家族が揃わないと参っちゃいけないなんて法は聞いたことがない。実家からは距離を置いているが、死んだ祖母ちゃんには顔を見せると決めている。今年も顔見せはスタンドプレーだ。
 星港で評判の花屋に立ち寄り、花を調達する。祖母ちゃんの好きだった薔薇の花だ。何でも、クソ爺が祖母ちゃんへのプロポーズの時に束でくれたとか何とか。相当お熱い恋愛結婚だったんだと。その話をするときの祖母ちゃんは娘気分に戻るのか、相当可愛かったなと思う。

「ようユーヤ」
「あ?」
「バラなんざ抱えて、プロポーズか?」