2015/2/6
Fri
07:23
ログイン・ギャングスタ4
話題:連載創作小説
「それよりなんだよ、そのガキ」
ここまで来てやっと僕の存在に触れられた。
「連れ子か?」
「まさか。僕は女性に興味ない。ほら、例の企画の当選者」
「例の企画?」
「"ラビッドラビットとパープルドラッガーズゲーム『ゴールデンギャングスタ』のコラボ記念。買って飲んで遊んで当てよう特別企画。抽選で一名様に当たるウィノナ・キッドと一日好き勝手に過ごす権利"」
「なんだそれ」
「ボスが自分で言った。酔った勢いで」
「なら覚えてない」
「企画は大好評だったんだぞ。こっちも向こうも売上が10倍にまでなったんだから。……この期間だけ」
ふーん、とあまり興味がなさそうに返した。
マティアスに「日本からわざわざやって来たんだから」と紹介されたが、この粗野な女がまさかあれほどまで逢いたいと願っていた人であるなんてにわかに信じられないし信じたくない。
いや、それでも本物に違いなかった。
透き通った淡い青の瞳、細い身体、色っぽい唇、腰に入ったハートのタトゥー。
ネットや雑誌で見たものと同じものだ。
美しすぎる億万長者と世間もマスコミもオタクも大人も子供も、皆が持て囃すだけはある容姿は誰かが成り済ますことなんて到底出来るはずない。
だからこそ、幻滅だ。
世の中は知らなくてもいい事実がある、まさにそれ。
【続】
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