「ねぇ、ちーちゃんの好みってどんな人?」
「寡黙な人かなー」
「なんでー?」
アキラは少しだけ淋しそうに言った。
「ほら、あたしがさー、お喋りじゃん?だまぁーって、聞いててくれる人といると、楽なんだよねー」
「あー、なるほど。確かに、俺も喋る方だから、少し静かな子、いーな、って思うことあるなぁ。でも、話し続かなくて、つまんなくない?」
チサトは、少し考えてから、話し始めた。
「まあ、そう言うこともあるかなー。でもさ、そういう、寡黙な人が、たまに、好き、って言ってくれると、本当に嬉しくなるじゃん?」
「ああ、なんか、わかる」
「でしょ。でさー、あたしは、割と誰彼構わず、好き、って言っちゃうし、それを思うと、そうじゃない人もいーな、って、ね」
アキラは、苦笑いだった。
「ね、ちーちゃん。でも、俺がちーちゃんに言う、好き、は何時も本気だよ?」
「はいはい。わかってる、わかってる」
チサトは、アキラの方を向いて、にっこり笑った。
「あーちゃんさー、恋人にわざわざ、タイプ聞くとか、マゾなの?」
「違うし!!」
「恋人がいたとしても、好きなタイプ、ってあると思わない?」
チサトは、どう?と小首を傾げた。アキラは、唸りつつも頷いた。
「確かに。俺も、可愛い子とか見ちゃうもんね」
「まー、ちょっと違うけど、そんな感じなの。で、ねー。あーちゃん。あたしもね、誰彼構わず、好き、って言うけど、口から出まかせって言うか、ノリだから、気にしちゃダメなんだからね?」
アキラは元気良く頷いて、チサトを抱き締めた。
「あはは、苦しいよー」
「わざとそうしてる」
「ふふ、アキラ。好きだよ」
「俺も、チサト大好き」
***
「って言う夢見たんだけど、どう思う?!?!」
チサトは、バンッ、と机を叩いた。
「チサ、うるさいっ!」
「あ、ごめ」
「もーさ、アキラくんと付き合っちゃえば?」
ユカリがそう言うと、チサトは、目を丸めた。
「ありえないし!!」
「だから、声!」
「ああ、ごめん。でもさ、アキラだよ?!ちーちゃんとあーちゃんの仲なんだよ?!何歳から一緒に居ると思って。家族なんだよ、アキラはー」
チサトは、言い切ると、ずるずるとシェイクを飲み干した。
「アキラくんは、そうは、思ってないかもよ?」
「ないない」
そういいながらも、少し悩まし気な顔をしたチサトを見て、ユカリは、思うのだった。
『アキラくん、ファイト』
end
話題:SS
13/08/18