ログイン |
「聞いてよー。あいつさー、もう、三日も連絡よこさないのよ?」
どう思う?あたしは、言いながら、ソフトドリンクの入ったグラスを傾けた。
昼過ぎの、ファミレスで、あたしは、連絡をよこさない、彼氏について、愚痴っている。
「ふーん、それで?」
「あたしのこと、本当に好きなんだったら、そろそろ、連絡してきても、よくない?マジさ、連絡くれないんだったら、他の男、探そうかと思うよねー。あ、そうだ、いい男知らない?」
あたしは、まくし立てるように言った。
「うーん。本当に、好きじゃないんじゃない?」
「やっぱりー?」
あー、そうか、やっぱりなあ、と思う。
「あ、たぶん違う。あんたが、彼のこと、ね?」
予想もしなかった言葉に、あたしは、目の前に座る彼女を、まじまじと見つめた。
「だってさ、ちょっと連絡来ないくらいで、他の男探そう、って思うんなら、彼のこと、そんなに好きじゃないんじゃないの?」
あたしは、否定も肯定も出来なくて、グラスに手を伸ばした。半分溶けた氷が、カランと、乾いた音を鳴らした。
「ほら、黙った」
「意地悪…」
さっきまでの、威勢の良さなんて、すっかり消えてしまって、あたしは、黙り込んでしまった。
わずかばかりの沈黙のあと、彼女が、ふっと吐き出すように笑った。
「まあ、もう少し、考えれば?私が言った事だって、極論にして、暴論だと思うしね」
「んー、うん」
それから、たわいもない、クラスメイトの噂話や、先生の批判なんかをした。
「別れちゃおうかなー」
「決めるのは、あんたでしょ」
そう笑った彼女は、あたしより、一つも二つも年上にみえて、あたしは、力なく笑顔らしき表情を浮かべるだけで、精一杯だった。
end
話題:SS