次の日。吹奏楽部の部室は、どんよりとした空気が漂っていた。そんな中、一年生のナナミが、ぽつりと呟いた。
「チカちゃん先輩、まだ、見付からないんですよね…」
「あぁ…」
俺が代表して答える。さらに空気が重たくなろうとしたときだった。
「見付かる、よ」
マコトだ。昨日、あの後かなりの数、電話してくれたらしい。
「そうだな!」
空元気でも、なんでも、この空気を払拭するには必要だった。
「じゃあ、練習始めようか!」
『はい!!』
夏に似合った、元気な、空元気の、返事が、音楽室にこだました。
セミの鳴き声が、五月蝿い。
続
話題:SS
12/07/30