突き刺さるはセミの鳴き声4
突き刺さるはセミの鳴き声

次の日。吹奏楽部の部室は、どんよりとした空気が漂っていた。そんな中、一年生のナナミが、ぽつりと呟いた。

「チカちゃん先輩、まだ、見付からないんですよね…」
「あぁ…」

俺が代表して答える。さらに空気が重たくなろうとしたときだった。

「見付かる、よ」

マコトだ。昨日、あの後かなりの数、電話してくれたらしい。

「そうだな!」

空元気でも、なんでも、この空気を払拭するには必要だった。

「じゃあ、練習始めようか!」
『はい!!』

夏に似合った、元気な、空元気の、返事が、音楽室にこだました。

セミの鳴き声が、五月蝿い。



続 話題:SS



12/07/30  
読了  


-エムブロ-