突き刺さるはセミの鳴き声
突き刺さるはセミの鳴き声

セミの声が五月蝿い日々が続いている。一人、また一人と、人が消えていた。まるで、セミが死に逝くように。

《突き刺さるはセミの鳴き声》

「あーつーいーーー…」
「あんまり、暑い暑い言うなよ、俺だって、暑いんだから」
「アイスでもかって、帰るぞ」
「はぁーい」

学校の帰り道。明日から夏休み。私は、幼馴染みのユウキと、並んで帰るところだった。私が、暑い暑いと言うから、ユウキがアイスを買ってくれるらしい。

「こんちわー」
「あら、ユウくんに、チカちゃんじゃない。相変わらず、仲良しね」
「ありがと、おばちゃん。アイスちょーだい」

ここは、私たちが小さい頃から通っている、駄菓子屋だ。そういえば、おばちゃんって、昔から変わらないな。

アイスを買ってもらって、歩きながら食べる。目線の先に、二人分の影が伸びていて、昔は同じ背丈だったのになぁ、なんて思ったりした。

「じゃーねー」
「チカコ、明日、部活だからなー」
「わかってるよー」
「おう、じゃあな」
「うん、明日ねー」

別れ道で、そう話した。アイスの残りを食べながら、家に向かう。家に帰って、シャワーを浴びたら、夕飯だろう。今日は、何かな。

ぼんやりと歩いていると、後ろから、誰かが歩いてくる気配がした。誰だろう。まあいいか、誰でも。そう思い直したところだった。

あっ?

なぜか、私は勢いよく転んでしまった。起き上がろうとしても、うまくいかない。次第に頭が痛くなってきた。私は、殴られたんだと、理解する。

ああ、そういえば。行方不明者が出ていたんだっけ。まさか私が、巻き込まれるなんて、思ってなかったなあ。

そして暗転‐ブラックアウト‐。



続 話題:SS


12/07/30  
読了  


-エムブロ-