「ゆんたは、今年の短冊、何てお願いするの?」
「今年は勿論、元気な赤ちゃんが生まれますように、でしょ」
《七夕》
私とぽんは、窓際に机を置き、すっかり、暗くなった空を見上げて、短冊に願い事を書いていた。
たしか。去年の今頃は“ずっと一緒に居られますように”なんて、願ったんだっけ。
「ぽんは、なんて、書くの?」
「んー、健康第一、かな」
「あはは、ぽんらしーや」
私は、笑いながら、ぽんの頭をグシャグシャと掻き回す。
「ぽん、好きだよー」
私は、らしくなく言ってみる。
「僕もゆんたのこと大好き!」
私は、照れて赤くなった顔を隠すために、キッチンに向かった。
今日の夕飯は、天体好きのぽんのために、少しだけ、手の込んだ料理を作ったのだ。
「さ、食べるよ!」
「うんっ」
ぽんは相変わらず、楽しそうである。私は、強欲にも、もうひとつだけ、小さく願った。
“ずっと仲良しで居られますように”と。
end
話題:SS
前作*
ほたる
12/07/07