「出来たぁ!」
今日も、リンの声がマンションの一室に響いた。今日のリンは、至極、満足そうである。
「今日の夕飯なにー?」
「ハンバーグ!」
「お、うまそー」
「でしょでしょっ」
リンとトモヤは、料理をテーブルに運び、頂きますと声を揃えた。リンは箸を持つ手を止めたまま、笑顔でトモヤを伺っている。トモヤはそれに気付いて、ハンバーグを一口、頬張った。途端。
「んー、うまいっ!」
「だって頑張ったもーん」
リンは言うと、満面の笑みになる。トモヤは、箸を置いて、手をリンの方に伸ばした。ぐしゃぐしゃと、リンの頭を乱暴に掻き回す。
「マジ最高。良い子には、頭なでなでだな」
リンは少し顔をしかめつつ、笑った。
「もぅ、ハゲるってばー」
「大丈夫、大丈夫」
トモヤがそう言うと、リンは、まあ、いっか、とでも言いたげに、肩をすくめて、ハンバーグを一口、頬張った。
end
話題:SS
12/04/29