存在意義
ショートストーリー

「てかさ、やっぱり、私なんて、いてもいなくても一緒よね」
「は?」

彼女は、時々、遠くなる。その度俺は、泣きたくなる。だから、怒る。

「そうやって、自分の事を卑下して楽しいのかよ!お前は自分に自信が無さ過ぎる。自分に自信があり過ぎるのも、迷惑な話だけど、お前は自分に自信が無さ過ぎる。お前は、この俺が好きになった人間なんだからな!俺の好きな奴のこと、そんなに卑下するなよ!!」
「卑下なんて、してないよ。でも、いてもいなくても、同じだとは、思うのよね」
「俺にとって居ても居なくても同じ人間は、確かにいるよ。けど、そんな奴だって、誰かにとっては、必要な奴なんだよ。お前は、俺にとって必要なんだ。それを、わかれって言ってんだよ!!」

怒鳴り散らして、やっと、彼女は泣いた。

泣けば、少しは収まるのが通例だからだ。泣いた彼女の姿は、少し嬉しそうでもあった。

「勝手にいなくなったりしたら、許さないからな」

キツく抱きしめて言う。彼女は、やっぱり泣きながら嬉しそうだった。



end
話題:SS



13/12/13  
読了  


-エムブロ-