「おじさん抱いてください」

今日の気温は33℃、わかりやすく真夏日だ。そんなときに自分んちの窓際に床座りしてガラス越しに直射日光をガンガン浴びていたバニーがついに壊れた。いやまあいきなり家を訪ねてきた俺がバニーの定位置、つまり椅子を占拠してしまったせいで居場所をなくしてしまったのは悪いと思うけど。でも頭やられるぐらいそこが暑かったんなら移動するなりなんなりすればよかったのに。半袖の黒いシャツを脱ぎながら虚ろな瞳のバニーは繰り返す。おじさん抱いてください。ああ本格的にやられてる。

「やだよ」
「なんでですか、近年稀に見るこの美形を抱きたくないだなんてどうかしてますよ」
「だって男だし…」
「じゃあ抱かせてください」

なんでそうなる。性欲が有り余ってるんだろうか。兎は万年発情期ってマジだったんだなあ、こんなクソ暑いのにリビドーがほとばしるとはむしろすごい。若いってすごい。つうかこんなおっさん相手に抱けだの抱かせろだのよく言えたもんだなあ、と考えている間に唇同士が重なり、体温という名の熱気が降りかかる。何気なしに触れたバニーの頬は汗で湿っていた。なんとまあ暑苦しいハンサムだこと。

「暑いです虎徹さん」
「そうだなバーナビー」

ああ暑い暑いと呟いているうちに首筋を舐められた。あつさで溶けたらおまえのせいだからな。