うう、気持ち悪い、きもちわるい。胃の中で台風かなんかが渦巻いてるみたいだ。喉にも違和感とか不快感とかがぐるぐるぐるぐるぐーるぐる。この状態を明確に言葉で表すなら、まさしく吐き気という3文字だろう。とにかくもう、気持ちが悪くて仕方がない。死んだほうがマシだこんなの。今だけ死んでたい。いや、これから先も死んでたいかも。だってもう疲れちゃったよいろんなことに。目ぇかけてやってた女子アナはただの尻軽ビッチだったし、エンコー大好き女子高生には全力で拒否られるし、挙げ句の果てにゃあどうだ、イケメン(笑)男子高校生(性格に難ありまくり)に求愛される始末。そりゃ吐き気も起こるわ。う、むり、家帰るまで抑えられなさそう。ちょうど道の端に溝あるし、そこに吐いちまおうか。それとも目の前のこいつのお綺麗なツラに吐いてやろうか。せんせー、僕は後者がいいと思いまーす。よーしよく言った足立くん、じゃあこいつに僕の全部をぶちまけちゃおうか!こいつも僕のことが好きって言うなら、僕が一度咀嚼した食物たちを顔面に浴びれるなんてこれ以上ない幸せだと思うことだろう。うえ、限界だ。ああ、くそ、こいつに届かない。がくりと膝から崩れ落ちて地面に手をついた僕を見下ろすそいつの顔は、相も変わらず上品に整ったままだった。なんて憎たらしくて不気味なクソガキなんだろうか、貼り付けていた笑顔さえもそのままだなんて。

「吐いてるところも素敵ですね足立さん」

いやだこいつやっぱりきもちわるい。僕は胃の中にあったほとんどの食物を道端に撒き散らした。