真夏。ふと隣を見ると内海の首の後ろに後ろ髪の何本かが張り付いていた。かなりの猛暑のせいで涼し気な顔と裏腹に内海の首には汗が光っている。その光からなんとなく目が離せなくなった。
「暑いなあ」
独り言レベルの声音で呟いた内海に『そうやなあ』と軽く同調する。その間も俺は内海の首筋を眺めていた。汗がすっと流れ落ちていく。それは血管とか骨とかを伝うとシャツの中に滑り込んでいった。亜空間みたいな、ゲームのバグみたいな感じで。かと言って滑っていった汗がヒュンッと消えるわけじゃない。