街を歩いていると急に公子が俺の手を取った。おいどうしたと尋ねるが公子は鼻歌を歌うだけで返事をしない。指の間に細っこくて小さい指が割り入ってきて、がっちりと隙間を埋められてしまった。手の感触や温度が充分すぎるほどに伝わってくる。……もう一度言うがここは街中だ。
「おい、公子」
「はい」
「その、……手。これは、何だ」
「恋人つなぎですよ」
さらりと言うのでなぜだかこっちが照れてしまった。熱い顔を隠すために視線を外し顔を背ける。すると公子の手を握ってくる力が強くなり、ますます顔をそっちに向けられなくなってしまった。
「こういうのは、人前でやるものなのか」
「はい。よく見るでしょ?そういうカップル」
「……興味がなかったからあまり見てなかった」