船の中から見える大きな光たちは、僕らを誘い込むようにきらびやかに光り輝いていた。赤や青や紫が代わる代わる宇宙を彩り、白が華を添えるように点々と散らばっている。見慣れた光景ではあるが人工で表現できる景色ではないそれはいつ見てもこちらに感動を呼び起こさせた。こんなに広い宇宙の中で、自分があの星よりも小さな存在だなんてなんだか信じられない。ましてやあの提督ですら宇宙の塵より小さな存在だというのだから、この世界の途方もなさにはため息すら漏れ出そうになる。いま提督は何をしていらっしゃるだろうか。お酒を飲みすぎたりはしていないかな。……なんて、お節介というものであることはわかっているけれど。だって今の提督の傍にはグリーンヒル大尉がいらっしゃるのだ。ぼくの心配など、きっとあまりに差し出がましく不必要だった。
『ユリアン、なあユリアン。お前が紅茶を淹れてくれない間、私は何を飲めばいいんだろうね』
出立の二日前に提督はぼくの前でそう呟いた。珍しく子供っぽくてかんたんすぎる物言いに、思わずぼくは笑ってしまった。名前を二回呼んだのもきっとすねている証拠だ。果てには船につける名前がアンデューティネスだというんだから困った人である。……と、表向きでは思うことにしているが。実は内心で、ぼくは少し喜んでしまっているのだ。そうやって寂しがってくださる様を目にすることで、自分がある程度は提督に必要にされていると感じることができる。実際にはいなくても困らないかもしれないけれど、そういった素振りを見せてくれることがただ嬉しかった。


あのタイミングで親不孝号って名前つけるのさ〜〜提督さ〜〜!!ああ〜〜