何の用で外に出たのかは忘れたけれど、その日は夕方からひどい雨に襲われた災難な日だった。学生帽を頼りのない傘としながら走って221Bへの帰路をたどっていたとき、ふと奥まった道の端から人の腕のようなものを発見する。こんな住宅街に人が倒れている?いや、まさか。そう思いながらも足は焦燥によって自然とそっちに赴いていた。空から降る勢いの強い雨粒がぼくの靴や地面をぼたぼたと濡らしていく。外套は水を吸ってずっしりと重くなり靴下は入り込んだ滴によってべたりと嫌な感触を伝えてきたけれど、足元にあるものの前ではすべてがどうでもよく感じられた。冷たい舗道に身を横たえ雨に打たれ続けている男、黒いマントで全身のほとんどを包み隠して顔に重たげな仮面をぶら下げている男。ぐったりとして動かない?
??の呼吸は浅く、苦しげに震えていた。ぼくは膝を折り慌てて彼の体を揺する。
「ーーあの、大丈夫ですか!」



龍ノ介とにゃめんはきみぺという漠然とした気持ちで書き始めたおかげで秒で詰んだ