「誰にも見つからずに来られたか」
「ああ……うん。見つかってないよ」
「フフ、上出来だ」


「あれ、亜双義は?」
学友の一人がそう言ったのを皮切りに周りの奴らはきょろきょろと辺りを見回した。特徴的な赤いハチマキとそこに居るだけで身が引き締まるような鋭い眼光の姿は近くには見当たらない。便所にでも行ったのではないかと誰かが呟いた直後、他の奴がそういえば、という前置きと共にぽつりと言った。
「成歩堂もいないな」
「ああ、本当だ」
「あいつら、たまに二人で何処かヘ行ってしまうなあ」
「え、あの二人って仲が良いのか?」
「嘘だろ!知らなかったのか?」
それぞれが思い思いの事を喋って周囲は和やかに騒がしい。しかし亜双義、果たして何処へ行ってしまったのだか。今日はあいつを誘って飲み会でも開こうと考えていたので少し落胆する。亜双義は一緒にいて気持ちの良い男で、しかも尊敬すべき学年首席さまなので共にいるだけで為になるのでこういう席には是非連れ込んでおきたいのだが。



逢い引きしてほしいやん…(?)