ほぼ龍アソ


「聞いてくださいホームズさん ぼくはどんどん元気になっていきます 毎日楽しいことがたくさんあって、幸せになりそうで怖い アイツの事を忘れてしまう」「どこか行こう どこに行きたい?」「海が良いです アイツ、朝の海が好きだったんです」「うん」「前にそう話してたんです」「うん」
(しあわせになりたいパロ)

本当はずっと遠くの朧気に浮かぶ月を眺めるべきだ、しかし男はオレの目の前で月を遮りながら笑っている。そのせいで綺麗な明かりだと言うことすら憚られた。逃げ道が塞がれている。こればかりはただ当惑する他はないのだ。ああほられんげが揺れるぞ、おあつらえ向きに風が吹いた。「亜双義、好きだ」

「ボクはもう退屈だ、こんな世界は!さらばだ諸君、そこで足掻いているがいい!」硝子の外れた窓を背に彼はそう叫ぶ。まさかと思った矢先、その体はゆっくりと後ろに倒れていった。ホームズさん、と叫んで手を伸ばす。瞬間、彼と視線が交錯した。細められる目の内に秘めた感情。きっとぼくだけが見た。
(龍シャロ)

窓枠のはじに寄り掛かり、さあ往くぞさあ往くぞとおまへの手を握るのだが、妙な亊にまつたく降りれやしない。早く降りて仕舞わないと往けないのだと言い聞かせるが、其れでも降りることは出来ない。嗚呼困つた、何故かしらと隣を見やれば、男は諦めたように笑つて居る。どうして笑つて居られるのだ。

帰っていく先輩達の後ろ姿を見つめながら潮風を浴びる。亜双義の横顔を見ようとして、何となく止めた。「休み明け、嘘でしたって言えば許してくれるよ。良い人達みたいだし」言ったら、少し間を置いてから亜双義が呟いた。「許されなくても良い」風はこんなに強いのに、はっきりと聞き取れてしまった。
(25時のバカンスパロ)

下腹から流れ出るものは不愉快な程に生暖かく、己からそれが出ているというのが妙に可笑しく思えた。成歩堂はオレの腹に触れるとその赤の付いた手を口元に運び、べろりと舐めあげる。不味くはないのかと問う前に訊きたいことが一つあった。「成歩堂、何故撃った?」「…ぼくにはおまえしかいないから」
(ケンタとジュンとカヨちゃんの国パロ)

亜双義の風邪が辛そうだったので「接吻してぼくにうつす?」と言ってしまったが最後、熱い舌がぼくの口内を好き勝手に蹂躙した。亜双義の口の中は驚く程に熱い。怯んで逃げようとした舌は即座に絡めとられる。ようやく解放されたかと思えば、その口がにやりと歪んだ。「後悔したか」「…反省はしてる」

性交は許すのに口づけは許さないという亜双義の基準は、確実におかしいと思う。けれど「オレがすべてを成し遂げた時までそれはとっておきたい」なんて大げさなことを言われてしまっては、こっちとしても反論する言葉は出てこなかった。だって先の台詞、それほどぼくとの口づけを大切なものだと思っているという表れに聞こえてしまった。今日も亜双義の体のあらゆる箇所に唇を落として、触れて探って揺さぶっているけれど、その赤くてらてらと湿るところにだけは触れていない。本当は今すぐにでも舐めあげて塞いで口内をまさぐりたい。けれど、それは亜双義の信頼に対しての裏切りだ。真っ赤な舌が時たまちらついて、挑発するようにぼくの視界に現れる。ぼくより回らない舌。コイツの珍しい欠点が、今は鋭い武器に見える。「ここばかり見ているな」
(途中で飽きたやつ)