あっはっは、と高らかな笑い声がぼくの部屋にこだまする。その声の主は、やたら上機嫌に酒をあおり続けるぼくの親友、亜双義一真だった。いつも前を見据えてぴしりと佇んでいるはずのその凛々しさは鳴りを潜め、今はなんだか非常に柔らかい雰囲気をまとっている。シャツははだけ、顔は赤い。時間は夜中の壱時、場所はぼくの部屋。まさかこんなやたら桃色の状況下で亜双義を目にする日が来ようとは。畳の上に座って向かい合いながら、ぼくはそんな亜双義をつぶさに観察している。安い酒だからか、味がよくわからない。
「成歩堂、呑んでいるか?」
御猪口をゆらゆらと揺らしながらそう問われる。亜双義は先刻からたいへんよく呑んでいた。そのおかげで今こんなにゆるゆるとした姿に出来上がってしまっている。ぼくもそれなりに呑んではいるはずなのだが、どうにもうまく酔いが回らない。亜双義のせいだろうか。


記憶なさすぎィ!