朝起きて、まず隣にある眉目秀麗な顔に驚く。ばっと上体を起こしてしばらくじっとその顔を見つめるうち、次第に脳が覚醒を始めていった。ああ、そうか。昨日は亜双義がうちに泊まっていったのだった。朝一番に見るには慣れない顔立ちだなあ、と速くなった心臓を肌の上からそっと押さえる。ぼくが飛び起きたことにより少しめくれてしまった布団が、亜双義の肩を外気に晒してしまっている。起こさないようにそっと布団をかけ直し、また亜双義の寝顔をじっと見つめた。ぼくのほうが起きるのが早いなんてあまりないことだ。亜双義はいつもたいていは日の出とともに起きて、それから鍛練をこなしているらしいし。眠っている顔はなんだかいつもより少しだけ幼く見える。頬をつついても撫でても寝息は途絶えない。昨夜はあれだけ動いたのだから、そりゃ疲れるだろうなあ。ぼくだって疲労がまだとれていない。
そう考えたあと、ふと気恥ずかしさが襲ってきた。昨夜の諸々の情景が頭に次々と浮かんでくる。亜双義のヤツ声大きかったなあ、だとか、昨夜もやはりいやらしかったなあ、だとか。……ぼくは朝から何を考えているのかしら。


オチわすれた