おそらくぼくは長く生きるのだろうなと、根拠もなく思っていた時期がある。年老いた妻を抱き寄せ、孫の頭を撫でるのだと、何故か必然のように考えていた。血が流れる。絶える。からだの芯が、溶けて消えてゆく。おとうさんおかあさん、どうか御許しください。きっと駄目だろうけど。

「成歩堂、もっと近くに来い」
塩水に足をつけ、楽しげに笑いながら亜双義がぼくに手招きをする。夜の海は怖い。けれどとてつもなく楽しい。ただいるだけなのにいけないことをしているようで、秘密でも共有している気持ちになる。ぼくは笑いながら、海に足を進ませる。想像以上に水は冷たい。なんとなく水平線のあたりに目をやるが、どこまでも黒が続いているばかりである。
「そらっ」
横からそんな声がした。と思った瞬間、ばしゃりという音とともに冷水がかけられる。思わず短く叫びながら飛び退いた。ああもう、服がびしゃびしゃだ。
「ぼうっとしているキサマが悪い」


高野心中万年草の一部読んでオッシャ心中龍アソ書こう(^▽^)と思ったけどクソほど進まなかったやつ
また引っ張り出して書くかもしれない