「なあなあ」

そう言ったらおまえはなんだって言いながらこっちを向く。そのときにふわっとした前髪がちょっとだけ揺れるところを見逃さない。おまえの毛質好きだなあ、俺。自分はこんなバサバサだからかな。意外と長いまつげが瞬きの度に際立ったり、綺麗な形した口が規則正しく動いたりする様から目が離せない。切れ長の瞳がこっちを見る瞬間がすごく好きだ。普段から見てる大きい背中とか、あったかい体温とかも好きだったりする。おまえの嫌いなとこを探すのが日に日に難しくなってきてるぐらいだ。呼んだら必ず振り向いてくれるのが嬉しくて、何回もおまえに語りかける俺は、きっとおまえにとってすんげえ面倒くさい奴になってるんだろうな。でもなんでかやめられない。なんでだろ、おまえが俺のこと構ってくれんのすげー嬉しい。