夢を見た。いや、夢じゃないのかもしれない。そうだったら嬉しい。そこでは、亜双義がぼくの首を弱くはない力でぐっと絞めていて、ぼくは良い感じに死ねそうだった。亜双義はこんな風にぼくのことを殺しはしないと思う。けれど志半ばで死んだあいつが死の間際どういう思考を働かせたかなんて、ぼくにわかるはずもない。あいつの死にまったく気づかなかったぼくのことを、恨みながら死んでいったのかもしれないし。殺したくて成仏もできないのかもしれない。ぼくは何をできる立場でもなかった。ぎゅうと首を締められていくたび、意識が朦朧としてくる。やがてついに意識を手放したぼくは、気がつけば深い水の底に体を沈めていた。下には砂利がある。川、だろうか。少なくとも海じゃない。死ぬのだろうか。この水の中で。そう思い、ならばと目を瞑る。